takekaiju さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ほんわかとした雰囲気を醸し出すのがうまい
物語の舞台は、テラフォーミングされ水に溢れるアクア(火星)の都市ネオ・ヴェネツィア。水先案内人ウンディーネになるためにアクアにやってきた水無灯里と半人前仲間たちの日常を描いた物語。
「ARIA」シリーズのアニメーション第一弾となる今作は、原作漫画のうち物語の根幹となる話を中心にいいところ取りな構成になっている。アクアアルタやアリスやまぁ社長、グランマとの出会いなどなど。原作、オリジナル問わず今後ストーリー展開していく上で必要なキャラクターをとりあえず登場させたといいう感じがする。
その一方で、第一話に出てくるアイちゃんなどアニメオリジナルのキャラクターもいて、しかも灯里とアイちゃんのメールのやり取りを通して物語が進んでいくという演出にも凝っている。漫画を原作としている回でもところどころにオリジナル要素を加えたり、他の回と合わせて再構成していたり、別物として楽しめるところがいい。
普通よほどいい曲でないとオープニングやエンディングは飛ばしてしまうけれど、この作品はオープニングアニメーション含めてその回の物語が構成されているから、始めから終わりまで楽しむことができる。
と、まあ構成や演出でもこだわりがうかがえる作品だけれど、やっぱり一番特筆すべきは音楽。Choro Clubの情緒溢れる音楽は、BGMとして物語の雰囲気を最高に感じさせてくれる。ちょっと悲しい場面や不安な心を掻き立てるシーン、ほのぼのとした日常の雰囲気までギターとピアノ、その他弦楽器で見事に色を添えている。灯里風に表現すると、ただの動く絵だったアニメが、音という光を得て生き生きと踊り始める感じ。
ちょっと恥ずかしいセリフや青臭い言葉もこの物語を通して灯里が言うとすとんと心の中に落ち込んでくる。それは何気ない出来事を本当に楽しんでいるのが伝わってくるからで、こういう風に物事を感じることができれば人生楽しく過ごせるのではないか、と感じさせてくれる。日常系アニメという枠組みでくくることのできない、もっとほんわかとした心地を味わい癒される作品。