ワタ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
バトロワ物が真に面白いのは中盤まで
甲賀組十人衆vs伊賀組十人衆、どちらかが滅ぼされるまでの非情な戦いとドラマを描いた作品。
序盤はバトル中心。中盤以降はドラマ面が基軸となり
回想シーンを混じえつつ、じっくりねっとりと描く。
甲賀組と伊賀組、総勢20名のキャラが登場するが
容姿・性格・能力、そのどれもが個性と魅力に溢れている。
どのキャラにもしっかり見せ場が用意され、散り際も壮絶でインパクト抜群。
バトルは忍術バトルと言うより
超人的な身体能力や特殊な武器を使った能力バトルと言った方が適切だろう。
非常にアクション映えするし、作画も当時としてはかなりのハイレベル。
単純な1対1の力勝負だけでなく、チームプレイが本作の見所となっており
情報量や相性で勝敗が決まるケースが多いのも面白い。
バトロワ物は、やはり開戦~中盤までが面白さのピークなんだと思う。
本作に関しては10対10のチームバトルという特殊な面はあるけれど
戦局の移り変わる様子や、各々が持つ能力の初見時のインパクト、
そして「誰が誰を殺し、誰が誰に殺されるのか」というハラハラドキドキ感。
敵味方双方、多くの人数が揃っている状況であるが故の
予測できないストーリー展開に期待も膨らむ。
しかしある程度人員整理がついてしまうと、その後は敵同士の因縁を順次処理していくだけ。
というのは言い過ぎにしても、どうしても予定調和な展開になってしまうのは否めない。
これはバトロワ物の構造上の問題とも言えるかもしれないが、そこは制作者の腕の見せどころ。
本作に関しては、個人的に9話までは神がかり的な面白さだったんだけど
やはり中盤以降はダレ気味で、バトルも謀略中心となり派手さに欠けるところはある。
とは言え、悲しき宿命を背負った忍び達の心情が十分に伝わる描写は素晴らしい。
また、16話の過去回想エピソードが秀逸。
不戦の約定が解かれる以前、甲賀と伊賀の忍び達の穏やかな日常風景。
これは夢・・・ただの夢なんだよ!ってスクライド最終回を思い出してしまったが
過去の話というよりも、印象的には「あり得た一つの理想郷」といったイメージ。
この話があることで作品の悲劇性が一層際立つし、早期退場組への救済、
そして終始殺伐としたストーリーにおける一服の清涼剤としても見事に機能している。