ほるん吹き さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
人も景色も物語もみんな美しい! そして懐かしい気持ちにもさせてくれるアニメ
物語冒頭でゆりえの「神様になっちゃった」という台詞には驚きましたが、それを普通に受け入れる周囲の反応と、作品の穏やかな雰囲気に押され何だか納得させられてしまいました。
今後もなぜ、どうして神様になったのかという理由は説明されませんが、そんな細かい事は気にせず、おおらかな気持ちで見守ることでこの作品は楽しんで視聴できると思います。
主人公のゆりえは内気で優柔不断、神様というには少し頼りない感じもありますが、困っている人を見過ごせない優しさがあります。
それが例え人でなく他の神様でも幽霊でも宇宙人でも。
神様としての力を乱用せず、あくまで一人の中学生として一生懸命に頑張る姿が健気で応援したくなる可愛らしさがあります。
ゆりえの友達、祀(まつり)と光恵をはじめ、たくさんの町の人々や他の神様たちに支えられ、ゆりえは神様としての役割をマイペースに全うしていきます。
美しい尾道・瀬戸内の風景。
かみちゅ!の舞台は海と山に囲まれた「日の出町」。広島県・尾道市がモデルの、実際には存在しない架空の町のようです。
高いところから見下ろす海や古い街並みがとても綺麗に描かれています。
街中坂道や階段だらけの起伏の激しいところですが、遠目に見ると家が段々状に建っていて、そんな景色を見ているとこう、ワクワクしてきますよね? 私がそう思うのは海も山もない平野育ちだからでしょうか?w
そういえば「たまゆら」は同じ広島県で竹原が舞台でしたが、その竹原と尾道って結構近いんですよね。似たような景色とは思っていましたw 瀬戸内には一度行ってみたいです。
奇妙で面白い姿の神々や物の怪たち。
神様になったゆりえは普通の人には見えない神々や物の怪が見えるようになります。…もうこれでもかってほど町中にゴロゴロいますw
ゆりえの力を借りることにより誰でも一時的に見えるようになりますが、みなさん最初はなかなかいいリアクションをされますね。
「物の怪」とは文字通りモノに魂が乗り移った姿をしている者たちですが、鬼の形相をしたオニギリ、爺さんのシメジイなど名前もシャレが効いていて調べてみると意外と奥が深いです。
個人的には豆腐の物の怪、とうふちゃんがお気に入り(まんまなネーミングw)。いかにもひ弱そうで、動きや仕草もいちいち可愛いです。
パンチラワカメちゃんなんて子もいますねw これはもうまんまモデルはサザ○さんにでてくるあの人w ちなみにこの子は通信やテレポートができる優秀な物の怪です。
もどかしくて初々しい恋模様。
ゆりえは同じクラスメイトの健児に片想い。ゆりえの弟・章吉と祀の妹・みこの二人の関係性も気になります。
気持ちを伝えたくても、もじもじしてなかなか言い出せない女子。
好きな相手に強く当たってしまい、後でそれを後悔する男子。
そんな中学生という年代の、恋愛初心者な感じが実に萌えます。
コロコロと変わる表情も印象的。分かりやすく両頬に赤い丸を浮かべ上げる照れた表情がとても可愛らしいです。
中学生って青春真っ只中ですよね。肉体的にも精神的にも日々成長していく時期。
価値観や考え方も変わっていき、自分が成してきたことに記憶を抹消したくなるような恥ずかしい思い出を作る時期でもありますw
そういった誰しもが経験しうる思春期の体験を思い出させてくれて、昔懐かしい景色とともに暖かい気持ちにしてくれる作品でした。