ぱるうらら さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
シャフトの本気!!その①『ef - a tale of memories.』
『ef - a tale of memories.』はゲーム原作、1クール(全12話)の学園・ラブロマンスアニメです。
話の舞台は『音羽(おとわ)』という架空の街。
過去にあったとされる震災により以前の街は崩壊、震災後の復興により崩壊した街を観光都市とすべく新たにヨーロッパ風の街並みへと生まれ変わった。 が、震災により崩落した元の街もそのまま残っている...。
このアニメの舞台についてはあるトリックが用いられていますが、その詳細は第2期で自ずと分かることでしょう。
ちなみに、あの街並みのモデルはドイツの“ハイデルベルク”そして”ローテンブルク”とされています。
また、“ローテンブルク”の街中の時計塔が劇中の時計塔のモデルとされています。
全ての始まりは、とある2人の出会い。
そしてとある学校の屋上:『全てが始まる場所』…。
主人公は広野 紘と麻生 蓮治の男性二人。
そしてヒロインは双子の姉妹(新藤 景 新藤 千尋)と宮村 みやこの三人。
第1期においては主にこの5人を中心として話が群像劇の形で展開されます。
ストーリー展開としては
①広野 紘(主人公)×宮村 みやこ×新藤 景(双子の姉)の話。
②麻生 蓮治(主人公)×新藤 千尋(双子の妹)の話。
どちらの話も良く出来た内容でしたが私的には紘を中心とした三角関係の話の方が好みでした。
まず始めに①の話から。
紘へと惹きつけられる2人の女の子、空から始まる女同士の激しい対立、自分を求めて欲しいと思う2人の葛藤...。
『誰も傷つけたくない』という思いが、2人の女の子を傷つけることになり、結果、自分自身も木傷つくことになってしまった紘。 自分の親友に指摘されとがめられ急かされて、どちらかを選ぼうとするが…。
この三角関係が劇中で非常に良く出来ていました。
序盤は二人の女の子の可愛らしさに視点を向け、ゆるやかに話が流れていきますが、中盤から後半にかけて徹底的に鬱な展開へと移行して話が進んでゆき、終盤(最後)は納得のいかない人もいるかもしれませんが、とりあえず無事に話は無事に纏まります。群像劇の形で展開されるためにこの3人の話は実質約6話という短い時間で展開されますが、それでもテンポが良く、3人の感情がありありと感じられ、シャフトが得意とする独特な演出が緊張感を持たせ憂鬱さをかなり増幅させたと思います。
特に、第7話『I...』の携帯電話のシーンはシャフトの力が存分に発揮された、この第一期最高のシーン・回だったと思います。
第10話の公衆電話のシーンもまた独特な演出が施されており、視聴者に「この数値が0になったらどうなるのだろう?」という様な不安や焦りを感じさせ、その後の感動を増幅させる良い演出でした。
印象的だった事は、女の子2人が発した言葉。互いを蹴落とそうと、紘から突き放そうとしてして発した言葉の数々。
景が放った「お兄ちゃんの心から、あなたの存在を消してみせる。」という言葉は特に印象に残りました。
この言葉を発した時点の紘とみやこ、紘と景のそれぞれの男と女としての距離、状況、そして場面がマッチして言葉の重みを感じました。
次に②の話について。
麻生 蓮治と新藤 千尋の話はとにかく憂鬱になる様な展開でした。①の話よりも一層酷な話であるが故に、私はこの話続きを見るのも辛くなってしまった程でした。
ある日千尋と蓮治は出会ってしまった、とある廃駅のような場所で…。千尋についての諸事情を何も知らない蓮治は知らないが故に近づいてしまう、彼女に…。
2人は徐々に惹かれあっていく。そのため、ある白髪の男は千尋に言った「千尋が決めたことなら良いが、その彼(蓮治)に近づくことに私は賛成しない。」と…。 そして彼は蓮治にも言う、「(千尋に)近づくなら覚悟を決めろ」と…。
彼女についての諸事情を知った蓮治は混乱し、葛藤し、不安、そして後悔の念を抱くようになる。
千尋も蓮治に近づくに連れ、自分のどうしようもない運命を恨み、憎しみ、嘆き、そして悲しみ…。
それでも二人は互いのため、互いに理解しようと歩みだすが…。
この蓮治を中心とした②の話もシャフトの独特な演出が施されており、前にも述べたように憂鬱さを増幅させます。あまりにも鬱な展開であったので見ているこちらも不安に駆れらるほどでした。
こちらの話の設定は、①の話よりももっとに凝った設定だったと思います。只の平凡な恋愛話ではなく、良く練られた複雑な設定;最初から2人の間にハンディーキャップという大きな壁を置いた恋愛話となっており、それが故に少し現実味が出た内容となっていました。
また②の話の方が、人の感情、表情がありありと出ていて、蓮治の葛藤や苦しみが伝わるなど感情移入がし易かったと思います。
このアニメは群像劇の形でストーリが展開されていくので当たり前のことですが、話がしっかりと繫がっているという点がとても良かったです。 1クールという短い時間で群像劇の形を作り、それでも尚この完成度の高さには本当に驚きかされます。
しかし本当に素晴らしいと思った事は第1期と第2期との繫がり方です。詳細は第2期のレビューで書きます。
エロゲー原作が故に展開がエロゲー風で現実味が殆んどありません。それは仕方がないことです。
それでもストーリーそのものについては全く飽きない進み方、そしてどうしようもないくらい酷な展開であるがためにハッピーエンドに近い展開に持っていくのは難しいように思われたが、それでもなんとか解決させるなど本当に良く練られたストーリーでした。
この『ef - a tale of memories.』は非常に完成度の高く、例え現実味が薄くとも面白く感じられるアニメでした。
また、2周目3週目と見ていくうちに更に面白く感じられた程でした。
とてもおススメ出来るアニメなので是非視聴してみて下さい
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