こたろう さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
帰ってきたアニメらしくないアニメ
知る人ぞ知る蟲師。
独特の世界観と静かな雰囲気が特徴の、自然と人の営みを描いた群像作品で、いわゆる今時のアニメとは一線を画している玄人ウケする作品です。
タイトルからよく勘違いされますが、妖怪退治やオカルトものではなく、本作はあくまでヒューマンドラマが基本。
前作の放映が終了してから7年が経過しようとしていますが、ここへきてまさかの特番。
続編の製作が決定しているので、その前哨戦(宣伝)の意味もあります。
もともと、全て1話完結形式の作品。
なので、前作を観ていないと話が解らなくなる事はありませんが、人物設定や世界観を理解しておいた方がより楽しめると思います。
まあ、それでも
蟲=妖怪ではないが不思議な事象を起す存在(自然現象や微生物といった方近い)
蟲師=蟲が引き起こす影響のトラブルを解決する職業(医者や研究者に近い)
って事だけ理解しておけば初見でも問題なし。
特別編とはいえ、やっぱり蟲師。
派手なドラマ性は薄く、作画も地味なのはいつもどうり。
手抜きというわけではなく、普通のアニメらしい演出方法とは異なっているのがこの作品の味であり一目置かれているところ。
声優もいわゆる人気声優ではなく、子役の役者などを抜擢しています。
大自然の中で、それそれの理(ことわり)で存在している人と蟲。その関係を淡々と静かな演出とサウンドに乗せて魅せる作風は相変わらず心地いい。
お話もわかりやすいテーマ性で、きれいにまとまってます。
おてんとうさんの恩恵。
普段、あたりまえにあると思っていたものへの感謝。
そんな事を静かに訴え、視聴者自身に考えさせる内容。
ああ、蟲師が帰ってきたなぁ~、と、しみじみしてしまいました。
微妙にハッピーエンドにはならない事が多い作品ですが、今回は割りとスッキリした終わり方でした。
前作を未視聴の方への掴みとしては充分。
2期が春・秋で分割2クール放映されますが、何気に楽しみです。