みきぽ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「わけがわからない」面白さ
■あらすじ
主人公ウテナは、小さい頃自分を助けてくれた王子様に憧れ、
女の子でありながら、自分も王子様のような格好をしています。
「薔薇の花嫁」を巡って繰り広げられる決闘に巻き込まれてしまったウテナは、
結果的に決闘に勝利してしまい、薔薇の花嫁であるアンシーと共に学園生活を
送るのだが・・・
寺山修司など日本文学の要素を取り入れた、芸術性の高い作品。
私は1990年生まれでリアルタイム視聴ではないのですが、
この世代の作品には世紀末独特の、底の見えない恐怖感があり、
現在の2010年以降の作品とは質が大きく異なっているように感じました。
少女マンガ家のさいとうちほ先生がキャラクターデザインということもあり、
きらびやかで宝塚のような派手さと美しさがあります。
当時本当にテレビ放映していたのか?と思われるぐらい
過激な演出(同性愛、近親相姦など・・・)が多々あり驚きでした。
ストーリーはいたってシンプル、決闘に勝利したウテナがアンシーを守るため、
次々と決闘を仕掛けてくる敵(敵といっても、同じ学園の生徒ですし、彼らがすべて悪人
といったわけではありません。。)を倒していく、というものです。
薔薇の花嫁とは一体何なのか?「世界を革命する力」とは何か?といったことを推理しつつ見るのもよし、イケメンたちのきらびやかな決闘を楽しむもよし、愛憎のもつれを楽しむもよし、です。
また、演出で言えば、影絵を用いた小劇場の挿入や、独特の劇中歌、
建物自体が生きているように動く独特のレイヤー構造、
見えるはずの水平線の先をあえて描かず、舞台のように見せる風景描写など、
後の作品に影響を及ぼしている演出が数多くありました。
タイトルの「わけがわからない」ですが、
劇場版作品だと、急にアンシーが車になってウテナがそれに乗ったりするんです。
なんで車?!って感じでしたが、そういう突拍子も無いイベントの理由を
あれこれ考えて自分で正解を出すのも楽しいです。
アニメ好きなら見るべき、と言われて見たのですが、
見終わった後確かにそうだなあと思います。
幾原監督作品は「廻るピングドラム」のみ視聴していたのですが、
原点を確かにウテナに見ることが出来ました。