三崎鳴 さんの感想・評価
3.7
物語 : 2.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
劣化版コードギアス
西暦2029年。突如発生した未知のウィルス、通称〈アポカリプスウィルス〉の蔓延によって引き起こされた大事件「ロスト・クリスマス」から10年後の日本が物語の舞台である。荒廃し、無政府状態となった日本はアメリカ軍を中心とする超国家組織GHQの統治下に置かれていた。桜満集は世間やクラスメイトに対してどこか冷めた視線を向ける男子高校生。周囲との微妙な距離を保ちつつ平穏な日々を過ごしていた彼はある日、お気に入りの場所である廃校舎で憧れの歌手・楪いのりに出会う。傷を負った彼女はレジスタンス組織「葬儀社」のメンバーというもう一つの顔も持っていた。集はGHQから最高機密「ヴォイドゲノム」を盗み出した楪いのり、葬儀社のリーダー恙神涯らと関わる中で「ヴォイドゲノム」に触れ〈王の能力〉を宿してしまう――
「攻殻機動隊」の制作会社であるProduction I.G.に加え「DEATH NOTE」の監督である荒木哲郎や「コードギアス」のシリーズ構成を務めた大河内・吉野など豪華スタッフが揃った事で期待値や前評判は上々だった。しかし最終的な評価はまずまずといったところに落ち着いた。音楽や映像のクオリティは多作品とは一線を画しており頭一つ抜けているが一番の問題は脚本構成にある。中盤こそ盛り上がりを見せるものの全体的には駆け足で説明不足が目立ち、何より主人公の心理のブレが大きく心理描写が粗末。アイドルや学園、ロボット,SF,アクションとアニメーション映像としての演出が派手になり大衆に受けやすい要素を詰め込みすぎたが故に表現しきれていなかったというのが正直な所。全体的に何をやっているのか分からない感覚がずっと付きまとい、画面の中だけで盛り上がっているといった感想が浮かぶ。脚本がコードギアスという枠に囚われているようで、類似点も多く見られるが作品評価の差は大きい。もう少し尺があれば、と惜しむ声も上がるがそれ以前の問題ではなかろうか。