退会済のユーザー さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:途中で断念した
残酷な構造。どう持っていくか。
2話まで視聴。まだはじまったばかりなので、評価も批判もしない。ただ、一点だけ、今後本作を評価する上での視点をひとつ提示しておきたい。
「松田、アイドルとは何?」「アイドルとは物語よ、物語とはすなわち可能性よ」
http://www.anikore.jp/review/806124/
-----引用開始-----
シリーズの最大の特徴は主役に抜擢された“ド新人”声優の7人を劇中のヒロイン達とリンクさせ、虚実混在の物語とするというもの
当て字こそ違うものの、登場人物と担当声優の名前が同じで、キャラデザも実際の声優の容姿をモデルとしているのです
-----引用ここまで-----
本作の特徴は二つある。
1.ド新人声優を劇中ヒロインとリンクさせる(声は無論のこと、見た目や名前まで)
2.アイドル業界のどろどろした汚い部分も描く
オーディション時の処女確認や、金集めの話など、けっこう突っ込んだところまで描くとして(劇場版にそういう描写があるそうだ)。そしてそういった描写がリアリティのあるものだとして(でなければそういうものを描く意味が薄れるので)
そのようなアイドルの裏側と、ド新人声優と劇中ヒロインをリンクさせる、という二つの手法。論理的に考えて、劇中で描かれるキツイ話は実際に新人声優さんにも起こりうるということでもある。これけっこうキツイ。
ヤマカンは、アイドル業界の裏(恥部)を現実の新人声優とダブらせて、ショー(見世物)にしてるわけだ。その論争的な手法が話題になることも織り込み済みで。
そして、劇中人物に「アイドルとは物語よ。物語とは可能性よ」と言わせている。作品中の感動ポイントはここなのかもしれない。
しかし、物語化っていう、なんとなく聞こえのいいクリーンな言葉選びでうまくやっているけど、要するに、「汚い部分をあえて見せて、それすらショー(見世物)にしまっせ」ってことだ。一般的なアイドルが、ではなく、それをメタ的に扱うヤマカンのやっていることこそが。
この、「裏側をあえてみせて客引きすることの気味悪さ」は、ある意味ですごく批評的ではある。
「みんな知ってるけど、その瞬間はあえて忘れている生々しいこと」を、ゴロンとそのまま見せ付けて、しかもそれを新人声優とダブらせる。それってとてもクリティカルな(主題に迫った)やり方なんだけど、それゆえに、対象(新人声優たち)のグロテスクな部分まで白日の下に曝してしまっている。その点は無視しちゃ駄目で。
「アイドルの残酷さ」を描くことによって、「アイドルの残酷さを新人声優に押し付けてそれを見世物にするヤマカンの残酷さ」もまた浮かび上がってくる。
すごくざっくりと言うと、要するにある業界の構造を外側から分析してアビトラージするってのがホリエモンのやってることだと思うんだけど、あのノリで、たとえば声優さんの目の前で「声優業界の構造的問題点」を滔々と語りだしたら、きっととなりの声優めっちゃきまずい感じになると思うんだよね。声優事務所のバーターの話とか、声優専門学校の搾取の構造とか、本人の目の前でやるみたいな。
2話の、スーパー銭湯で営業やって、「ちょっとこういうの違うんじゃないですか」って嫌がったら「舞台に上がらせるのがマネージャーの仕事、チャンスを掴むかはまた別問題~うんぬんかんぬん。まずはなんでもやってかないと」的なああいう説教のやりとりとか、なんか似たような雰囲気を感じる。
こういう萎えるというか、けっこう残酷なことをやってもなお、最後にはある種のカタルシスというか、感動が描けるかどうかってのが、今後の見所のひとつになるんじゃないかなと、思います。
そこから感動的な展開にもってくのって、やりやすいとは思うんです。一回下げてますからね。でも、それが単なる予定調和的なというか、わかりやすい「泣かせ」展開に持っていくのではない、ひとつの説得力のある方向に持っていくのは、これはかなり難しいことなんじゃないかなあと、思います。
「アイドルだから、アイドルゆえの、アイドルこその」ということにこだわるのではなくて、芸能界で成功するためのリアルな積み重ねがあって、シビアな選択を迫られて、やりたくないこともやって、客のリアクションがちゃんと返ってきて…ということを丁寧に描けば、アイドルなんてまったく興味ない人にも、憧れと現実、仕事の向き合い方、といったより普遍的な事柄を通じて伝わるものがあるはずですし、より幅広い視聴者層の感動を得る作品になるんじゃないかと思う。
なんにせよ期待ですね。ハードルはむろん高く設定しましょうみなさん。だってそういう作品なのですから。