aaa6841 さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
上質な顔芸
勇者との壮絶な戦いの末、劣勢となった魔王は、一時退却のためゲートを開き、そこに飛び込んだ。
逃亡した魔王を追い、自らもゲートに飛び込む勇者。
2人がゲートを経て辿り着いた先は、現代の日本だった。
そんな、生死を賭けた最終決戦を繰り広げていた魔王と勇者が、現代社会における資本主義経済という残酷な現実に飲み込まれ、その地位や身分にそぐわない質素な生活を送る姿から滲み出る悲哀、無常、空虚を噛み締め、涙しながら見るアニメである。
基本的には、「魔王は善良」「勇者は外道」というギャップを土台に様々なギャグを織り成していくのだが、一つ、魔王と勇者に共通して凶悪な部分がある。
それは、表情である。
まず魔王についてだが、バイト先の控え室で制服に着替えるついでに、「営業スマイル」の練習をすると見せかけての「マジキチスマイル」が炸裂する。
接客業において決して見せてはならない、いやむしろ人に向けてはいけないようなマジキチスマイルを優雅に浮かべている。
そのような予行演習を見せ付けられたので、一体どのような畜生面で接客する気なのだろうかと思い、様子を見ていたのだが、実際の接客時には尋常じゃない爽やかな笑顔を浮かべているではないか。
なんだったら、ちょっと腹立つくらい爽やかである。
どうやら先ほどのマジキチスマイルは、単なるフェイスストレッチだったようだ。
就業前のストレッチに余念がないほど、意識の高いバイトくんなのである。
その意識の高さを例えるなら、「その日のバイトは午前中のみであがったのに、その後ぺちゃくちゃとしゃべっているだけで3時間ほど控え室に居座る奴」くらいには意識が高いのである。
軽くバイト暦3年超えくらいの貫禄はある。
そんな魔王が、この物語の主人公となる。
次に勇者についてだが、その豊かな表情(顔芸)は、ほぼ魔王を威嚇するために使われる。
その厳めしい姿は、「目で殺す」ならぬ「顔で殺す」である。
もし、この勇者に目の前で凄まれたら、5000円くらいは渡してしまうほどのご尊顔をしておられる。
そんな勇者であるが、その「勇者」という肩書きに不足ない勇気を持ち合わせており、現代社会において、臆することなくストーカー行為を繰り返すほどの資質を秘めている。
さすが勇者だけのことはあり、常習的なストーカー行為のみならず、果物ナイフを使って善良な一般市民を脅すことすら厭わない。
完全に異常者である。
そんな勇者は、もう1人の主人公なのかイマイチよくわからないが、魔王と共に2トップを飾るメインキャラクターの1人である。
これは、そんな魔王と勇者を中心に回る、バトルアニメ風ラブコメもどき顔芸アニメである。