遥か彼方 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:今観てる
EDが「とある飛空士」への優しい鎮魂歌に聞こえる、そして「恋歌」の行方は「風」だけ「が知ってる」
一話でリア充ナンとかで切った人、もう一度考え直す事を全力でお勧めします!
三話までの展開と雰囲気だけでの判断でしか有りませんが、これはただの飛空士に憧れた主人公の恋愛物語じゃなくかなりのシリアス要素が詰まった良作の予感がします!
二話の終わりで主人公の正体が解ります。
これは自分では全く予想していなかったもので、一気に物語に引き込まれるきっかけとなりました。
二話で教官が飛行機を前にして言った言葉
{netabare}「これからこれにお前達は命を預けるんだ」(ちょっとニュアンスは違うかもですが{/netabare}
これは今後の展開でそう言った哀しいものが待っていると言うフラグだと感じました。
そして三話
{netabare}主人公カルエルがどういう思いで飛空士になる決意をしたか、その過程が悲劇的な過去を交えて解ります。{/netabare}
今後カルエルはどれだけの人や物事を「許して」いかなくてはならないのでしょうか。
タグで戦争、空戦と言うのが有るのできっと今の和気藹々とした寮での日常は束の間の幸せなのかも知れません。
私がこれを見続けようと決めた決定的な理由はEDです。
ED「風が知ってる」歌 赤い公園 作詞・作曲 津野米咲
{netabare}自転車で二人乗りをして走るシルエット
そこに流れるのはゆっくりとどこか不安を煽るマイナー調のメロディ-。カルエルのこれからの試練や生き様を表しているのかも知れません。
カルエルを支える様にしがみつく「彼女」
そんな二人の横を白い風が吹き抜けていきます。
巨大な飛行船とカルエルの仲間達と思われる小さな飛行機達が二人を追い越し飛んでいきます。
そしてサビの直前に空を覆う幾多の丸い光。
次々と撃たれる爆弾に必死に抗うと言う過酷なイメージにも取れ、反対に戦争で散っていった命の輝きが二人を見守っているとも取れる。
どちらにしてももう胸が詰まる思いでそのシーンを見てしまいます。
ここまでがセピア色なので一見手抜きの様にも思えますが、不安定な曲調の為か観ているだけで、不安と切なさを感じずにはいられません。
サビに入ると同時にそれが優しいメジャー調に変わり、二人にはあざやかなカラーが付きます。
澄んだ青空にクレアを後ろから抱きしめる形で立っているカルエル、その場所は断崖絶壁の崖。
ギリギリで生きてきたと言う証の様なシチュエーションです。
メロディーはそんな二人を包み込む様な優しさに満ち溢れています。
そしてラストの数小節、また世界がセピア色に変わり今度はカルエルが一人で自転車をこぎ走り続けます。
そして最後の歌詞
「知ってる」
先程の真っ白い風が突然竜巻の如く彼を覆い、空へと吸い込んでいくのです。
その時のメロディーは突然の一オクターブの高音で、空へと舞い上がる風と相まって命の最期の叫びにも聞こえます。
風に飲み込まれ憧れた空へと消えていくカルエル。
不謹慎かも知れませんがフラグとしては充分だと感じます。{/netabare}
このEDだけで泣きそうになります。
そしてこれを観て、聴いた時、想像が先走り過ぎているのは否めませんが、私はこの作品に確かな可能性を感じました。
少しでも気になってる方、視聴を迷われている方、EDのみでも視聴してみる事をお勧めします!