STONE さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
恋を越えたもの
原作は未読。
「化物語」のつばさキャットの前日譚にあたるもので、つばさキャットでも羽川翼の心の闇が
描かれていたが、本作より深い闇が描かれており、どうして羽川がああなってしまったのかよく
判る。
人外の存在が人に憑依するような展開は他作品でも多く見受けられるが、大概の作品は憑依
した存在を除去することで問題解決とすることが多い。
しかし、このシリーズにおいては怪異に憑かれる人はその人自身に問題ありとすることが
多い。だからこそ忍野メメが言うところの「勝手に助かる」のだろう。
そのため本作の一件もあくまで対症療法にしか過ぎない。かと言って阿良々木暦が言う
ように、羽川自身を変えるわけにはいかず、結局は自己と他者との関わり方で折り合いを付けて
いくしかないのだろう。
それが簡単にいくわけにいかないため、阿良々木と羽川の話は今後も続いていくのだろうが。
本作において阿良々木は羽川に対する気持ちを恋ではないとする。
確かに二人でラヴラヴするようなものではなく、清濁併せ飲むような関係はもう恋ではない
かもしれないが、恋の定義は人それぞれで人によってはこれも一種の恋だと言えなくもない。
いずれにしてもこれを恋でないとするなら、恋を越えたつながりと言えそう。
「化物語」、「偽物語」の感想では特に書かなかったが、このシリーズでの阿良々木の
やられっぷりが凄まじく、今回もそう。治癒スキルを持っているとはいえ、痛覚はそのまま
だろうから、かなり痛そう。
それにしても毎度毎度、誰かを助けに来ては、結局は別の誰かに助けてもらう展開で、今回も
ヒーロー的なカッコよさという部分では忍野忍が持っていった感じ。
ただ、自分が力不足であると知りつつも助けようとせずにはいられないのが、阿良々木の
魅力と言えそう。
もっとも、この阿良々木の行動は相手への思いやりより、自己満足によるものの方が大きそう
だが。
このシリーズ唯一無比といった感じの演出と作画は相変わらず楽しい。