Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
消せない過去と登場人物の色んな思いが複雑に絡み合った物語・・・2巡目の視聴でしたが感動でした(;_;)
この物語の主人公は、側頭部に2つの小さな角を持つディクロニウスのルーシーです。彼女はベクターと呼ばれる特別な能力の持ち主なのですが・・・その能力は人類を滅ぼしかねないほど強大である事から、世間からずっと隔離・拘束されながら生きて・・・いえ、生かされてきました。
ある日、彼女は隔離されてきた研究施設で発生したトラブル時の隙をついて・・・海に飛び込み脱走してしまうのです・・・
一方、コウタは大学に通うため、親戚の計らいで鎌倉にある現在は使われていない料亭で生活をする事になり、北海道から出てきました。そして、従兄妹のユカに出迎えられ、少し足を伸ばした由比ヶ浜の海岸で・・・脱走の際の衝撃で傷付き記憶を失っていたルーシーと出会い・・・物語が動いていきます。
少し前に一度視聴をしたのですが、何故かレビューが書けなかったので今回が初レビューとなります。
まず、ルーシーを始めとするディクロニウスの彼女達ですが・・・決して自ら望んで手に入れた能力ではなく、生まれた時から与えられていたもの・・・外見こそ側頭部の角に違いがありますが、それ以外はベクターと呼ばれる能力を除き、普通の人間と全く同じなのです・・・
なのに、どうしてこんな仕打ちを受けなきゃいけないのだろう・・・
どうしてそこまでして隔離しなきゃいけないのだろう・・・
だって、喜怒哀楽、寂しいと思う気持ち、悲しい事や辛い事で心が折れそうになるのも普通の人間と全部一緒なんです・・・
でも、人って悲しいかな、相手に自分との立ち位置の違いを無意識のうちに見てしまう生き物なんですよね・・・
ディクロニウスには小さな角が付いていた・・・ただ、それだけの理由によって歩いてきた茨の道がこの作品の中でしっかりと描かれています。
もし、自分がディクロニウスと同じ状況下にあったら・・・間違えなく耐えられなかったでしょう^^;
だから、それが例え小さなモノでも自分に向けられた優しさだったら・・・縋りたくなります・・・
それが例え僅かな時間であったとしても・・・その人との思い出は大切な宝物として胸に刻まれます・・・
彼女達ディクロニウスは、たった一つの大切な想い・・・それを胸に秘め、それを拠り所としている彼女達の心模様・・・
私は涙無しでは見れませんでした^^;
でも、この作品は彼女達が背負った悲しい運命だけを描いたものではありません・・・
彼女達がこの世で生を受けた・・・という事は当たり前ですが両親がいます。
もし、生まれてきた自分の子供に角が生えていたら・・・?
生まれたきた子供に突き動かされる親の必死の願い・・・
出した結論に対する贖罪は・・・
この続きは本編をご覧下さい^^
そして、今を生きている自分達を包み込んでくれる温かくて優しい空間・・・
皆んなと過ごしている時間だけは、胸に刻まれた傷を感じずにいられる場所・・・
ユウタの住んでいる料亭は、こういう感じに満ち溢れていた場所だったと思います^^
時にはぶつかり合います・・・でも相手への思いあればこその衝突は仕方ありませんよね^^;
1クール13話の物語の中では一部過激な描写やグロテスクな場面も登場します。
でも、この作品の本質はそこじゃ無いと思います。
ディクロニウスの一途な思い・・・支え合い・・・といった部分に重点を置いて視聴すると、
作品の印象がだいぶ変わるのではないでしょうか・・・^^;
私は初見の時ディクロニウスの悲劇にばかりが印象に残ってしまい、物語のもう一つの幹となる部分をおざなりにしてしまっていました。その結果、ストンと胸に落ちてくるモノが無かった事が初見の時にレビューを書けなかった原因のようでした^^;