ヘッドクラッシャー さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
ぶっちゃけ過大評価されすぎでは?
【良い点】
1、キャラクターがユニーク
2、音楽・劇伴BGMが良い
3、1クール毎に戦いの場が変わる
【悪い点】
1、主人公側のキャラが多すぎ
2、後半からやたらと目立つ「後付」設定やお話・強引な展開
3、進化と育成・バトルに関する疑問
【総合評価】
当時それなりに話題にはなったし、今でもデジモンの原点として評価されてますが、ぶっちゃけ個人的には今見直すと過大評価だなって気がします。子供向けアニメという部分を外して評価するとぶっちゃけ構成力自体は後のシリーズと比べても大差ないかなと。
まず良い点としてはキャラ自体はユニークでしょう。選ばれし子供もデジモンも印象に残りやすいですね。またそれぞれのパートナーデジモンもよくぞこれだけかぶりを起こさず描けたものです。次に良いのは音楽・劇伴BGMですね。主題歌のButter-flyや挿入歌の「Brave heart」をはじめとしてどれも優秀な音楽でした。今でもよく聞きます。
3つ目の1クール毎に戦いの場が変わるというものですが、これらはそれぞれ最初の1クールがファイル島、2クール目がサーバ大陸、3クール目がお台場、4クール目がスパイラルマウンテンとなっていて、かつそれぞれの舞台に見せ場を用意してあるのも良い処です。特に第2クールの超進化と3クール終わりの究極進化は今でも印象に残るほど大好きです。そして物語のボルテージもそれに従って上がっていきます。ここら辺は良かったと思います。
但し、その反面解せない点も相当ありました。まず1点目の主人公側のキャラが多すぎることですが、のっけから7人出されてもうざいです。戦隊でも初期からこんなに登場人物多くないよ…せめて4・5人位に抑えられませんか?まあ結果的にそこそこ描けたから良いものの、明らかに立て方失敗したキャラも居ますしね(ヤマトとかタケルとかヒカリとか)。
次に後半からこの作品、人気が出たために02制作が決定したせいかやたらと強引な後付設定が出てきて、しかもそのいずれもが上手く処理できてないってことが多かったです。その最たる例は後半から加わった八神ヒカリとテイルモンですが、ここの仲間に加わる過程がかなりいい加減。それまで敵だったくせにヒカリにあった瞬間急に八体目の使命に目覚めたり、超進化に関しても特別経験値を積んだわけでも紋章の意味を体現したわけでもないのにウィザーモンがやられただけで唐突に進化するし、かといってヒカリ自身のキャラはさしたる内面を描いてないのでヒカリとテイルモンに関しては完全に失敗したテコ入れと言えるでしょう。OPに最後までヒカリが加わってない所を見ても初期構想にはなかったキャラなんでしょうね。
またこれは02とは関係ないと思いますが、太一とヤマトが衝突起こして究極体同士が喧嘩してるとこにいきなりホメオスタシスの話を何の脈絡もなく繋げていきなり背景事情を語り、しかも「じゃあ俺たちはどうすれば良い?」と聞かれた時に「分かりません」の一言…ゲンナイもですがデジタルワールドの管理側はお役所仕事過ぎませんか?この放任主義は流石に頭来ましたね、選ばれし子供たちに覚悟を持って戦わせる側がそんな杜撰な体制で良いのかと。
後はアポカリモンの時に出て来た「太一たち以前にも選ばれし子供たちが居ました」っていうのも「だから何だ?」って話ですし、そのアポカリモンに関しても予告も伏線もなく、しかも作品のテーマと別に絡んでるわけではないラスボスでした。おまけにアポカリモンの吐いた恐らく最も根源的であろう負の感情自体は至極真っ当だったのに、それに対して子供たちが力技で強引に捻じ伏せる展開が大嫌いでした。作ったのが東映なので「道理を壊して無茶を通す」にしたのかもしれませんが、それは最低限処理すべきテーマをきちんと消化できたうえでの話であって、中途半端に処理しきれないようなテーマを出すべきではありません。これも失敗でしょう。最終回のベタナレーションも02が控えていることが分かっているせいもあってか全然説得力ありませんでしたし感動もありませんでした。あんな展開で最終回泣けと言われても無理です。
次に進化と育成に関する疑問ですが、この作品では人間キャラの成長=デジモンの超進化するという仕組みなので、パートナー間の絆が深まる必要性がいまいち感じられません。上で述べたテイルモンの超進化もそうですし、究極進化の条件が太一とヒカリに矢を当てて進化しましたとか唐突かつ適当もいいとこです。そんな簡単にバンバン起こせるなら他のキャラだって究極進化してもおかしくないと思うんですけどね。
超進化に関しても「正しい育成を行うこと」と言ってるのにその正しい育成が一体どこら辺を持って根拠づけられているのか分からないんですけどね。戦闘面に関してもデジモンたちが勝手に戦い太一たち人間キャラは後ろで掛け声出してるだけなので互いに信頼して戦ってるとは言い難い。これが例えば「Vテイマー01」のように進化するには相当の経験値を積まなければならず、また戦闘の指示も基本テイマーがきちんと出した上で戦うというものであれば分かるんですけどね。この作品ではそんな描写全然ありませんでした。
バトル描写に関しても微妙で、敵の強さが上がるのは良いことですけど、エンジェモン関連はインフレし過ぎではないでしょうか?初進化の時はまだ相討ちだったから良いですけど、ダークマスターズ編は最初太一たちが束になっても敵わなかった筈の強さを見せつけたにもかかわらず、その後の展開見るとかなりあっさりやられてました。特に酷かったのがムゲンドラモンでドラモンキラーであっさり倒されるとかてあーた…最初からそうしろよって思いましたし、ピエモンだって究極体のウォーグレイモンとメタルガルルモンがあれだけ粘ってもボロボロだったのにそれを完全体のホーリーエンジェモンが出た瞬間にあっさり形勢逆転とかご都合主義にも程があります。これが例えば「ホーリーエンジェモンは完全体だけど究極体並の力を持つ」とか何かしらそれらしい理由づけあればいいですけどそういうのもないですしね。バトル描写は確実に下手くそでした。
後まあこれ言っちゃお終いですけど、主人公の太一はかなり我儘でスタンドプレー目立ってます。だってスカルグレイモンの時に一人で突っ込んで無茶してるから一人で戦うのが間違いだと学んでる筈なのに、それを終盤のダークマスターズ編まで直そうとせず、50話に来て漸く「ヤマトやミミちゃん、丈と離れて分かったんだ、ただがむしゃらにやってもダメだって」って言ってますが、遅すぎです。寧ろあんななるまで太一は仲間の大切さにも気づかない鈍い奴だったのかって思いましたね。どんなにカリスマリーダーって言われててもそれは勝手に仲間がついてってるだけなんですよね、よく見ると。せめてそんなものは中盤までに気づいておきましょうよと…。
とまあ、こんな感じで他にも色々書きたいのですがまあこんな感じです。ヒカリとタケルに関しては02で触れたいと思います。