plm さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
もう、勇者しない。
2013年秋アニメで10本あったラノベ原作作品のうちの一つ
タイトルで勇者と魔王でギャップ系ってまたかよー!と思って観始めるも、あれ……妙な中毒性が……
長文ラノベタイトルな上、魔王と勇者モノさらに露骨なエロで釣りとかどんだけ安易な何番煎じだよ!
なんていうのが誰しも抱く第一の感想ではないだろうか 実際そんな感じの内容で始まる。
さらに言えば中世なのか現代なのか世界観もぞんざい&テキトーなもので、なんだこれぇ状態。
なんとも微妙な内容だったな……、でもフィノちゃん結構良い子だったな。
――そんな感触を受けてから、一週間後のことである。
あれ……あのつまんないやつ、そうそれそれ勇しぶ、それなんかまた観たくなったなー あれ?!
このしょうもない感じがいいんだろうか、果てしない掛け合いっぷりがいいんだろうか、
なんだかくせになる魔力をこの作品が放ち始めたのである。
味が特徴的な薄塩ポテチみたいな感じで、薄いけど忘れられないまた食べたくなる味。
たぶんフィノちゃんの超然としたキャラと、このフワフワした世界観のせいじゃないかと思う。
そうして続けて観ていくうちに案外内容自体も面白い気がしてきて株を上げていった異色のアニメ。
~
■惜しい点? 優れた点?
基本的に、この作品の雰囲気自体は『可愛い系の萌え』なのだけど、
作画は妙に生々しい深夜的エロなのがミスマッチであるように思えてならない。
キャラクターの素っ気、真摯さや誠実さが本質的に備わっていて、そういう要素がよく伝わってくる作品であっただけに、一見してエロが押し出されてしまってるのは勿体ないように感じる。
一方で、ぬるっとした動作に躍動感があってアニメ―ション的に素晴らしい出来の場面も多々あった。
特に終盤戦は動きが良すぎて燃える。
テーマ性も『勇者の在り方』だったり、『しぶしぶ就職したこと』だったり、
主人公の観念について一貫した言及があったために、考えさせられる部分も多かった。
フィノと出会い、成長を見守る中で自身にも心境の変化が表れていく過程は納得できた。
しぶしぶ始めたことでも、精一杯やってるうちにやりがいが見えてくる、それは確かかもしれない。
そして『勇者』は職業じゃない。
意外に初め気になった現代中世ごちゃまぜな世界観も、それはそれでしっかり機能していた。
○AMADAの扱いはあれでいいのか果たしてww とか思いつつも、総じて後味は結構いい作品だった。