plm さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
実のない勢い
レースで例えるなら、普通はいかにコースを速く走るかってとこに目標・意識があり、
観戦する人にとっては、それを競うレース展開に熱狂するわけだが
このアニメは、まず脇道に盛大に突っ込み大暴走。体勢を立て直し再スタートを切ったはいいが、
荒ぶる走行で設置物にぶつかりながら激しく横転するアクシデントパフォーマンスの連続。
観客は呆れつつもエキサイト、しかしレースはもう周回遅れでどうしようもないが何とかゴール。
……というような感じだった。
ようは登場人物の目的や作品のテーマ性とかそっちのけで、
その場面場面のパフォーマンスでいかに観客を楽しませるかみたいなことをやった結果、
レース本来備わっている醍醐味とは無関係なところでエネルギー使ってしまっていて、
いやその勢いを速く走るために使えよ!と思ってしまうところがあった。
何に注目して、誰の視点に立って、どういう経過を見守れば良かったのか?
そういった話に入り込むためのとっかかり、話の軸となるものが無かったように思う。
音楽や演出が熱かっただけに、なおさら勢いだけあって実のない内容に感じてしまった。
■何に主眼を置くか
{netabare}・ハルトとショーコのストーリーとして
→立場を優先せざるを得なくなり、彼や彼女の自由意思に基づいた行動は見られなくなっていった。
ただ一つハルトにあったのはショーコへの想いだったが、それを遂げられない悲愴感だけが残った。
戦闘におけるブレインもエルエルフだったため、ハルトに主人公としての主体性を感じられず。
ヴァルヴレイヴという武装兵器の一部といった認識に止まることになった。
・エルエルフのストーリーとして
→1期では胸の内が明かされなかったが、リーゼロッテが登場し彼の目的意識が見えてきた。
エルエルフの物語としてなら注目できるのではないか? と思った矢先に、あっという間に退場。
ここまで引っ張ってきたものが脆くも崩れ去ったようで、作中最もがっかりした話である。
・世界を暴くストーリーとして
→世界の秘密とはマギウスの存在だったのだろうが、マギウスとか関係なしに戦っていたような?
そもそも世界を暴くシステム自体が暴かれるものそれ自体だったような?世界は暴かれたのか?
暴いた結果、疑心暗鬼の殺戮がそこらじゅうで起きましたとか描写投げやりだったなぁ。
ジオールの学生勢よりエルエルフの過去の仲間達の方が心情描写がわかりやすかったし、
アードライあたりを主人公にすれば話に入りこめて盛り上がったかも、と思ったり。
やっぱり学生たちの独立国家的な描写は無理がたたってギャグになりがちだった。
{/netabare}
でも酷評されてるほどつまらんわけでもなかった。1期同様シュールギャグはそれなりに健在だったので。
「買い被られたものだな……」とか捨て台詞吐きながらエルエルフが輸送されてくシーンは笑った。