らしたー さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:今観てる
小手先の変化球を投げてきた。
原作未読ですが、まずはそういう印象。
弱小チームがのしあがる様を描く系統をジャイアントキリング型と呼ぶならば、この作品はむしろ真逆。ジャイアント(強豪校)がいかにしてジャイアントたりうるかを描いた、いうなれば「名門校の舞台裏」というやつにスポットを当てている。
いきなり強豪野球部所属。
130キロも出ないピッチャーが主人公。
女子キャラがしゃしゃり出てこない。
という3点が面白くて視聴を続けている…のだけれど、これどうしたもんか。
野球という食い荒らされたモチーフで何かしら光るものを出そうとすると、こういう小手先の変化球を投げざるを得ないのが実情なんでしょうか。少しでも差別化しようといろいろ考えてるんだなあ、と感心しつつも、それってのは数多の野球作品にすでに食傷しちゃってる人間を意識しすぎてるってことでもあって、その時点で、うわー狭いフィールドでしのぎを削ってる世界なんだなあと悲しくなる。こういう作品を見ると特に。
すごい偉そうな視点で語ってしまいますけれども、結局、「どういう野球を描くか」てのが出発点にあると、たとえそれがどんな変化球であっても、ぐっと人を惹きつけるパワーみたいなものはにじみ出てこないと思うのです。
その発想から投げられた球ってのは、過去たいがいのストライクコースを舐め尽くしてると思うし、だからといって、まだ開拓されていない球筋を見つける作業って、まあそれはそれでクリエイティブだとは思うけれども、そこまでして野球である必要って何なのと、率直に疑問に思ってしまう。
既存の作品とかぶらないように、おっかなびっくり探り探り未開拓なコースに投げる球ってのは、置きに来た棒球以外の何物でもないんじゃないかと。
守備位置や打順というソリッドな枠が最初からある野球ってのは、その枠にそれっぽいキャラを配置するだけで、そこそこ面白い人間模様が出来上がっちゃう魔法のような舞台装置だと思う。「キャッチャーの○○」、「4番の××」といった具合に、競技上の役割分担が他のスポーツより明確なだけに、容易にキャラを立たせることができる、そもそもが反則みたいな題材でしょうよ。『大正野球娘。』だってあるけどさ、あれ野球じゃなかったらあそこまで面白くできないさ。
そこへもってきて、「こういうピッチャー珍しいでしょ?」「こういう監督像はまだ描かれてないでしょ?」という小手先のアプローチをされたときに、おお、すげえ新しいじゃん!って素直に感動してあげられるほど人間ができてないんですわ私。
もっとこう、「野球というスポーツを通して何を描きたいのか」という出発点がほしい。
「どういう野球を描くか」って視点はいったん捨てちゃいましょうや。
いや無茶を承知で言ってますが。
なんかもう、飽きた。
でも最後まで見る。やきゅう好きだし。