じょー さんの感想・評価
4.6
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
救い
まるで純文学を読んでいるような、ある意味アニメらしくない物語でした。
これ以外のエンドは考えられないのですが、それでも私には、衝撃的なラストでした。なぜに救いのない、あの選択肢になってしまったのでしょうか?
アニメのストーリーにはある程度の予定調和があり、それはメインヒロインの安定感であったり、傍観者たる外野のキャラクターによる物語の調整だったり。(CLANNADの古川夫妻や、とらドラの亜美のような)、ヒロインに対しての最終的な救いや未来だったりします。
True Tearsにはこれら、いわば規定路線のルールが全くなく、最終的にメインヒロインの救いは結局に流せない涙だけ、主要登場人物がすべてストーリーに巻き込まれ、(外野に近い愛子と三代吉ですら決着は10話)、リアルで泥臭くそして痛々しく、萌え要素ほぼゼロ。
最終的に勝利を収めるヒロインは最後の最後まで、素直さや純粋さなく泥臭いまま。メインヒロインは美しく気高いが、悲劇という形で、物語ははかなく終わりました。
登場人物の中で、乃絵だけが最初から最後まで、誇り高く、美しく、何の罪もなく、そして哀しい物語でした。そして他人の心情を機敏に察することのできる女性であるがために、あの最後になってしまったのではないかと思います。そして彼女にとってはほんのわずかな、救いと未来のラストシーンでした。見た当初より、後々になってから、これほど印象に残るラストはないと感じる様になりました。
それでも1クールでこれだけの品質の絵と深いストーリーをいれている作品は他にはなく、価値の高い作品と思います。性格がねじれたり、毎回のように腹黒い描写のあるサブヒロインをはじめ、キャラクターもすばらしかったです。城端曳山祭の作画は圧倒されました。
乃絵が本物の涙を流せることを願ってやみません。最後の背中だけ写ったラストシーンは切なさでいっぱいでした。