STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
血と暴力のファンタジー
原作は未読。
ハードなガンアクション作品だが、アクション部分に関してはかなり荒唐無稽な感じで、
リアリティには欠けるが、痛快な描写が多い。
ガンアクションものに関してリアリティにこだわる人もいるが、個人的にはリアリティと
エンターテイメント性のさじ加減は、その作品のコンセプトごとに違うだろうと思っており、
作品の目指す方向と、実際の描写がぶれなければ全然問題なく楽しめる。
この作品はアクションに関しては、映画的な派手さを目指したようで、クエンティン・
タランティーノ、ロバート・ロドリゲス、ジョン・ウー作品の影響が感じられた。やたらと映画
的言い回しが多いのもよりそれっぽくさせるし。
その一方で描かれている世界は痛快とは言い難いシビアなもの。描写自体も結構えぐい要素が
あり、ゴミを捨てるような感覚で簡単に人が殺されていく。あとガンアクション以上に殴る
蹴るといった描写がかなり痛々しい。
一見相反するようにも思える二つの要素だが、この作品のバランス感がかなりいいためか、
違和感を感じなかった。
あと荒唐無稽さに興醒めしなかったり、えぐい要素が多いのにどこかライトな感覚が
あるのは、舞台であるロアナプラが「血と暴力のファンタジー」といった感じの一種の異質
空間であるからという気もした。
このロアナプラにおける、ここでしか生きられないような悪党ども(ラグーン商会も含む)の
生き様も見所で、登場する各キャラの印象がとにかく強烈。
主人公であるロックだけが、ここでは浮いているような感じだが、彼の存在がファンタジー
空間であるロアナプラと、視聴者のいる日常空間の架け橋になっているように思えた。
このロックの考え方に対して、殊更対立するのがもう一人の主人公であるレヴィ。
背負ってきた過去からくる現在の自分からすると、ロックの考え方はきれいごとにしか
思えず、そんなロックに対して怒りを覚えるのだろうが、現在の自分の生き方に納得しきれて
いない部分も感じられ、ある意味きれいごとを言えるロックに憧憬を感じているようにも
思える。そんな複雑な感情が印象的でした。