セレナーデ さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「エヴァの良さが分からないとかこの人アニメを全然分かってねぇな」←これが怖い
宮崎アニメや攻殻や押井作品なんかに信者がついてるけど
自分の中ではエヴァは宗教としてのレベルが別格。
なにが違うかって「プレッシャー」が違う。
その趣味の世界の初心者や若い人たちがいたとして、その世界のもう少し深いところに踏み込もうと、
ネットなりリアルなりのコミュニティで情報を得ます。
ロック聴くならジミヘンやパープル聴けと、ビートルズ聴けと。
映画語るなら七人の侍を観ろと、コメディならチャップリン観ろと、Mr.ビーン観ろと。
そしてアニメを観るなら、語るなら、エヴァを観ろと。
その「名作」と呼ばれるものに手をつけ、wktkさせてインプットを開始するんです。
ほほうこれが皆が絶賛する名作かと。一体どんな快感が私を酔わせてくれるのかと。
ところがどっこい(←古い日本語)、なんか違うな、と。
ジミヘンのフレーズのどこがかっこいいのか分かんないし、
ビートルズの曲も知ってる曲に反応するくらいで全然フックにかからない、
七人の侍は冗長なだけでモダンタイムスも微塵も笑えねぇ。
そんなこと思ってる人たちは大勢いるはず。
そしてエヴァもそんな大それて面白いといえる内容じゃなかったと。
根拠はないけど既視感でいっぱいだと。むしろつまらん、と。なんやあのラストはと。
ほんとは面白くないと言いたいと。
しかし信者が、時代と時間が紡ぎだした偉大なる信仰パワーがそうはさせない。
「本当はつまらなかったけど、この名作を咎めたら
アニメのこと分かってないと思われそうだし、口当たりよく書いとこ」と
お茶を濁して当たり障りなくしたり、当時にしては、当時の物とは思えないと、
年代を考慮したフリをしたレビューや採点をさせられたレビュアーがマジで何人いることやら。
まどマギやハルヒからアニメの世界に入った人たちが、古株やちょっと先輩のアニメファンに
「今観ても完成度の高さを感じました♪」とヘコヘコ接待していないと言い切れるだろうか。
その人たちに「歴史的功績」で評価させ始めたらもうそのエンタメは寿命ですよ。
先駆性やジェネレーションギャップに気を使った評価をしなければいけないエンタメなんぞ糞くらえですわ。
別にそれを面白いと思う感性や、温故知新やマイノリティやらを否定したいんじゃなくて、
エヴァ(とファン)の、新規視聴者の「そんなに面白かったかな」、という心の引っかかりを、
鉄が冷めないうちに賞賛の方へ捻じ曲げようと脅しにかかる性質の悪さみたいなのがイヤなんです。
自分の目から見たら、エヴァは「とても観れたもんじゃない」というほどではないけど、
少なくとも「嗜好性」より「資料性」の価値のウェイト方が上回ってるな、と。
取り巻きのクオリティはあれど、正直に言うと、特に大したことないアニメでしたよ。
あと、エヴァは考察的だー考察考察ーって印象があって、これ自体観たのも以前のことだし、
エヴァ関連の作品はこれ一周しか見てないけど、揚げ足取りみたいなんですが、
これ、別に考察物じゃねぇなと。
とは言っても自分も難解な作品に出くわしただけで
言葉のあやで「考察的だ」なんて言っちゃってるくちなんですが。
・太郎君と花子ちゃんという子がいました。
・太郎君は花子ちゃんをいつも叩いていじめて、泣かせていました。
・太郎君は先生に叱られ、少し反省しました。
・別の日、太郎君は花子ちゃんをまた叩きました。
・太郎君は申し訳なくなり「ごめん」と謝りました。
・花子ちゃんは【泣きました】。
チビッコの頃、道徳の授業で聞いた話はこんな内容だっただろうか。
この【泣きました】の理由を考えるのが、自分の中での考察の基本、根底。
泣いたという事実だけ提示し、その理由は示さない。
花子ちゃんは叩かれたことが悲しくて泣いたのか、謝ってくれたことがうれしくて泣いたのか、
それをそれまでのストーリーからヒントを得て推察することが「考察」だと考えてます。
「10」という答えを与えられ、「5」を使うというヒントを見つけ、その式を考える。
5+5なのか15-5なのか2×5なのか50÷5なのか。それが考察。
「5」というヒントも人によって2だったり20や100だったり。明確な式の正解がない楽しさ。
けどエヴァがやってたことは「丸投げ」「秘匿」「放棄」がいいところ。
自分の目から見れば、難解さはあれど考察すべき結果やヒントがない。
映画素人にも娯楽とは何かを語らせてしまうほど超難解で不親切極まりない
2001年宇宙の旅だってちゃんと「結果」とそれを前提とした「ヒント」があって
考察ものとしての体を成してる。
今更、あえて結果や背景を描かない手法がヒットの理由のひとつだろうとか、
それが意図した戦略か否かとか、賛否に分かれるもの頷ける、と
世間の論争に一枚壁を隔ててかっこつけた第三者を気取る気もないけど、
エヴァがさせてることは、考察じゃなくて「妄想」とかがせいぜいだろう、と。
で、それが良いか悪いは別として、
わたくしの脳みそは、「その妄想(の勧誘)に付き合う気はありません」とのお達しなのです。