4423 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
唯一無二の雰囲気を持つ名作アニメ
およそ遠しとされしもの
下等で奇怪
見慣れた動植物とはまるで違うと思しきもの達
それら異形の一群を、人は古くから畏れを含み
いつしか総じて「蟲」と呼んだ。
漆原友紀による漫画「蟲師」をアニメ化した作品。
この物語の「蟲」という存在は、現在この地球上に存在している私達の身近にいる「虫」とは異なる存在であり、この作品における重要なファクター。
その「蟲」を専門として扱う職業の人々の事を「蟲師」と呼ぶ。
彼らの仕事は
「蟲」に関する様々な事象を研究し
「蟲」に魅入られてしまった者を助ける
言わば「蟲」専門の研究者・医者である。
そんな素敵な職業が存在する物語の主人公が「蟲師」でないはずがない。
{netabare}
主人公は旅をしながら「蟲師」の仕事をしているギンコ。
彼の第一印象は、どこか淡く、柔らかな、この作品の雰囲気によく似合う良いキャラクターだと思った。
しかしよくよく考えると周りの人物は皆和服で黒髪、町並みは日本の明治時代の様。
その中に唯独り洋服を着こなし、白髪で緑眼の男。明らかに浮いている。
私は何故ギンコだけこんなに異質な格好をしているのだろうかと考えた。
その結果は「ギンコは未来人で、ある蟲の力によってタイムスリップしてきてしまった、蟲師なのだろう。」というとんでもないSFチックな結論に至った。
そんなマヌケな考えも後に「眇の魚」を観て完全に葬り去られたのだが。
しかし髪の色、瞳の色は説明されたが、洋服については未だ謎のままで自分なりにもう一度考えてみた結果。
洋服は私達とギンコを繋ぐ重要なファクターの一つなのではないだろうかと思った。
ギンコ唯独りだけが洋服なのではなく私達読者、視聴者も同じく洋服を着ている。
作中ギンコだけが洋服を着ている事で、他のキャラクターには存在しない、私達とギンコだけにしかない特別な共通点を作っている。
そうすることで「蟲師」の世界に対しての、唯一洋服を着ているというギンコだけの異質感が、外側の異なる世界から覗き見ている異質な存在の私達と重なる。
言うならばギンコは私達の案内人のような存在で、私達はギンコを通すことで「蟲師」の世界を解り易く、より魅力的に観ることができている。
私達は「蟲師」という不思議な物語の世界に何の知識も持たずに入り込んでも
そこには「蟲」と呼ばれる得体の知れない存在達がいるにも関わらず、いつも心のどこかで安心して観ていられたのは、ギンコという案内人が見慣れた洋服を着て迎えてくれたという暖かさのおかげだったのかもしれない。
{/netabare}