遥か彼方 さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:今観てる
原石なのに触れられない程に熱いダイヤがここにある!
気が付いたら10話まで一気観していた。
自分は現実の野球は好きではない、と言うかルールもまともに知らない(好きな方すみません)昔ゴールデンタイムでアニメ放送してた時など、延長で野球を恨んでいたタイプ。
アニメでも他のスポ根より何となく視聴を戸惑って来た傾向にある。
でも「弱虫ペダル」「黒子のバスケ二期」などスポ根波が来ているのか無性に観てみたくて堪らなくなった。
「MAJOR」で三期辺りをそれなりに観ていた事は有るけど、野球を楽しむと言うより主人公に隠された意外に重い人間ドラマが興味深かったと言う印象。「タッチ」はまあ、あれは別格かな。
こんな自分だがこの作品は多分野球自身も楽しめているんだと思う。
主人公 沢村栄純
彼が主人公じゃなければ一気観する程はまれていなかったと思う。それどころか野球はやっぱり解りにくいからと数話で切っていた可能性も有る。
どの作品にも共通する事で当たり前の事かも知れないが、主人公が魅力的、これはスポ根には特に欠かせない要素なのではないかと感じた。
実際に野球を楽しんでいる方や野球に精通している方はこれがどれ程現実の「野球」を表現出来ていて、この作品に満足されているのかは解らないが、現実では野球に興味が全く無い私がこれを楽しめているのは確かだ。
この作品はまず突然の大切な仲間との別れから始まる。
主人公だけがずば抜けた実力の持ち主でスカウトされ、仲間と決別してその専門の道を目指し始める。
そこには必ず葛藤が着いて来る。
よくある設定だが栄純がどれ程今までの仲間と野球をしたいか、していたかったかがよく伝わり、また仲間の方も栄純の祖父が伝えに来てからどれ程葛藤したのか、想像出来る。
きっと彼のいない所で何人かは反対し、何人かはそれを宥め、そして話し合った結果栄純の幸せを一番に考え皆で前向きに送りだそうと決めたのだろう。
こんなシーンが栄純と仲間達から容易に想像出来る。
だから
「本当は栄ちゃんともっと野球やりたかった!」
と列車に乗った彼に向かって一人が叫んだ時、思わず涙腺が緩んだ。
主人公 沢村栄純
どこまでも熱血野球バカで仲間思いの少年。
野球がやりたい!あいつらとの夢を叶えたい!
その一心で名門校への扉を開くが、基礎も体力作りも目上に対する言葉遣いさえままならない。
野球界においてはとんだ世間知らずで、真面目に練習を重ねてきた先輩方やコーチとぶつかる事も日常茶飯事。
でも栄純の前向きさと野球に対する情熱は少しずつ皆に伝わり、すぐに色んな意味で注目の的に(どちらかと言うとギャグ担当なイメージが強そうだけどw)
野球が好き過ぎる為周りが見えなくて、クリス先輩に隠された傷を酷い言葉で抉ってしまう。
でも真実を知りすぐに自分の未熟さを反省し、真剣に練習に取り組む。
こんな単純ストレートで等身大の正統派熱血主人公は何だか久々に思えて、観ていて清々しい。
これは「バカ」が名誉な程に真っ直ぐ好きな事に向かっているのが観ている者にも真っ直ぐに伝わって来るからかなと感じる。
栄純が野球に精通していない為、色々彼への初心者向けの説明も有ってルールが解らなくても観ていて苦痛に感じる事が無い。寧ろ野球のルールが解ってたら100%楽しめるのに、と残念な気持ちが生まれる程、この作品は「現実の野球には興味無くても自分向け」なのだと思う。
この作品に限らず、スポ根は全身体当たりで目標に向かって汗水垂らし葛藤し、時には立ち上がれなくなるほど絶望し、努力が実り結果を出せた時は心から喜べる。
そんなシーンを観ていると「こう言うのが本当は人間の理想の姿」なんじゃないかと思える。
私がスポ根が無性に観たくなるのは、それをある意味疑似体験させてくれるからかも知れない。
今後沢山の困難にぶつかって葛藤して、悩んで答えを出して、成長する。
それを繰り返し仲間の大切さを忘れない栄純のまま、少しずつ隠された輝きを魅せて欲しい。
野球に興味が無い人間にも「こんな生き方してみたい!」と羨ましくて仕方無い程の眩しい青春が、この作品に味わわせて貰える事を期待しながら、栄純と野球を楽しみたいと思う!