セレナーデ さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
設定はリアル、やってることはコメディ
文武両道、容姿端麗な妹が実は重度のオタクで兄貴に助けを請うって設定はすごくいい。
本人がそれを気にしてるのも、現代のオタクへの偏見の問題を
テーマにしたある種のリアリティがある良い設定だと思う。
非現実的さが武器であるアニメ媒体で、世間体、オタクに対するメディアの扱いなどといった
そのアニメ自体に関する現実的、誹謗的なテーマを取り上げた、
ある意味挑戦的な脚本は恐れ入る。最終的な解決方法は京介か桐乃が
アニメへの思いの丈をぶつける力技だが、感情移入したユーザーのフラストレーションを
解放させるにはもってこいの演出だし、最後の最後で京介がドロを被って締めるオチも
(可哀相だが)様式的で良いなぁと。
あと新しいというか、意外思ったのは、桐乃がオタクではあるけど、
オタクのコミュニティには疎いという設定。オタク系のキャラってアキバに通ってるのが
当たり前みたいな設定が多いけど、アキバデビューすらしてなかったというのはちょっと意外だった。
が、
調子に乗ってオタクネタから脱線するとダメ。
{netabare}具体的に言うと小説とか出版社がどうのこうのってとことかいろいろ。
本作の設定は身近なコミュニティ内で展開されるからよかったのに、
作家デビューなんて飛躍の仕方して出版業者やアニメ業界の裏側みたいな
なんちゃって情熱大陸みたいなことされてもリアクションに困る。
おまけに、桐乃は自分の嗜好と世間体を両立させることに矜持を持ったキャラなのに、
いきなり街中でバケツの水を頭から被るってどうなのよ。
設定がリアリティあっていいかなと思ったのに、所々コメディとの住み分けが出来切れてない。
京介にオタクをカミングアウトした途端、急にニヤニヤしながらゲームを語りだすし、
なんかゲーム強要しだすし。あやせの突如の病み、実は同級生も妹のパシリ、{/netabare}
その他諸々変なとこでせっかくの現実味のあるテーマが活きてないのが微々ながらもったいない。
コメディ自体は面白かったんだけど。
コメディは好きだけど、この作品自体をどうしても好きになれないのはやっぱ桐乃のせいだわ。
桐乃のツン(クズ)っぷりがネタにされることがあるけど、
ネタじゃなくてマジでどうかなと思うんだよね。
桐乃の暴力暴言が京介への信頼の裏返しと捉えれば可愛く見えるんだろうけど、
このアニメはビンタというものを軽く考えすぎてる。
本作のギャグはハイテンション系やドタバタ系じゃないからビンタや暴言が生々しい。
あと「散々ほったらかしにしてたくせに!」ってどっからどう見ても
無視を決め込んでたの君のほうじゃないか。
それらの桐乃の言動が"信頼の裏返し"という裏づけだけでは、
どうしても自分の中の落とし所としては腑に落ちないんですわ。
京介は兄貴の中の兄貴。
初対面の人間にため口きくとこ以外はなんて人間できてるんだ。
地味子は声優の力がなかったら本当の地味子になってた。
にしても900STて。身近にあったんだろうけどもうちょっと民間用のをトレースしろよw