タマランチ会長 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
名作になれなかった日常アニメの良作
日常系アニメは退屈。すぐ飽きる。
でも、この作品は最後まで観ることができた。なぜかと言えば、田舎を舞台にしていたから。ノスタルジーというか、郷愁を誘うから。この作品ほど田舎ではないけど、自分も田舎出身だし、山の中の地域に在住した経験もあるからなおさら。でも、それゆえにこの作品のリアリティーの問題も否が応にも感じてしまう。
{netabare} たとえば、第一話。蛍さんが転校してくるんだから、4月上旬。田んぼの稲刈りの跡が残っているのはよいが、この季節にしては緑が深い。広葉樹が茂り、草が伸びてくるのはもう少し後。田んぼ道の真ん中に公衆電話??だれが利用するというのか。バスで児童数2名の小学校に通う?もう少し大きい町の学校へ行くはず。毎日乗ってくるいたいけな子供を置き去りにする冷たいバス運転手などなど。{/netabare}
とにかくここの田舎は自分の知っている田舎ではない。たぶん作者やスタッフの脳内の田舎。だからリアリティーがない。
ただ、4話のBパートから急に背景にリアリティーが出てきた。番組の最後のスタッフが撮ったと思われる写真からも、取材をしたのだろうというところが見て取れる。こういうところをきちんと描写できれば、リアリティーは気配となって視聴者に届き、多くの人を作品世界に引き込むことができる。しかし、その後もちょっとした違和感は相変わらず見られ、スタッフの力不足が露呈した感じ。
スタッフのリアリティーを追及し、田舎の雰囲気を描写しようとした姿勢は評価するし、その方向は正しかったと確信する。この作品に関しては、「名作」になる可能性があったが、力及ばず「良作」止まり。でも、次回作はきっとしっかり準備をしてよい作品を魅せてくれるだろうと期待している。となりのトトロ並のリアリティーを魅せてほしい。