こたろう さんの感想・評価

3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

何でも笑顔で終わればイイ、ってものでもない

ラノベ原作。
神様が捨てた世界、人が死なくなった世界。
厳密には、人は死んでも魂はそこに留まり死者として活動し続ける世界のお話です。
新しく産まれる命もなく、天に魂が召されることもない、神様がいない世界。
死者を埋葬することによって唯一魂を送る事ができる「墓守」である主人公が、この世界を救うべく旅する物語となっています。


正直、個人的には勿体無かったなぁという作品。
すごく気に入った面と、気に食わない面とが共存しています。

まずは良かったところから。

キャラクターは非常に魅力的。
主人公のアイは、なかなか特殊な生い立ちですが、その境遇にもメゲずに前向き。
理想家でアホみたいにお節介ですが、そういったところが愛らしく思えます。
各エピソードでの登場キャラも、変わった能力や立場の者が多いですが、性格的には善良で、救いの無い世界観に反して陰鬱な気分になることが少ない。
どちらかというと、静かで穏やかな雰囲気が終始漂うのは、登場人物の人柄の成せるところだと思います。
キャラデザインも作画も良質。

設定も面白い。
破滅的なお話かと思いきやそうではなく、生と死を曖昧にすることによって浮き彫りにされる「生きる事」や「有限なるもの」の意味を訴えてくるテーマ性。
もしも世界がこうなったら？
というシミュレーションのもと、発生しうるであろう社会問題も考慮してあり、そこから派生する物語は存分に興味を惹く素材になっています。

また、序盤（～３話）の掴みも非常に良かった。
安穏としていた主人公の生活が一変して、世界のことや自分の事を知り、傷つきながらも決意して志を立てて旅に出る。
もう物語の導入部としては文句なしです。
内容もなかなか刺激的であり感動的でもありで、これからどんな冒険が？・・・と期待させるには充分でした。


ただ、序盤での期待感は終わってみれば満たされていない。
というか、視聴が進むにつれて不満な面がみえてきます。

正直、ファンタジーの悪い面がモロに出てしまったと感じて残念でした。

不思議な世界をベースに、淡々とそこで起こる事象トレースしてエピソードを展開させていくのはいいのですが、とにかく大事な説明がない。
雰囲気アニメとしてぜーんぶ視聴者が想像しろ！・・・っていう作風ならまだしも、エピソードの最初の方は所々で説明を入れているクセに肝心のオチの部分ではボヤかしています。

は？（゜д゜）
だから、何があったのよ、それ？
どーしてそうなった？

これが無いのでイライラします。

原作を読め、Wikiで調べろ、続編で説明するから待ってろ。
穿った捕らえ方をすれば、そう言われているような気がします。

セカイ系っぽい作品のこういう所、ニガテなんですよねぇ（ｰ_ｰ;）
理由と結果が理解できないものを、娯楽としては楽しめないのです。わたしのガチガチの脳ミソは＾＾


起承転結の「承」と「結」が曖昧な作品。
総括すると、そういった評価になります。

主人公が不思議な世界を巡り、そこで起こった事をソレっぽく切り取ってみせている。
それだけ。

もう一歩、ホントにもう一歩が足りていない惜しい作品でした。