plm さんの感想・評価
3.7
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
不愉快境界線を探して
2013年秋アニメで10本あったラノベ原作作品のうちの一つ
京アニ制作のガチ中二バトルアニメが観られるのか!?と期待度は高かったものの、始まってみれば
主人公がやたらと呑気で緊張感がなかったり、ヒロインの子は言行が支離滅裂だったりして
キャラの心情に歩み寄れずイマイチ物語に入っていけない出だし。
唐突に嗜好語り出したり、唐突に設定でてきたり、何を思って行動してるのか突拍子ないし、
色々と飛躍しすぎてて、悪い意味でラノベっぽい。
京アニなので絵のために観れるものの、話は今期ワースト争うレベルかも・・うーん
●そんな調子で見続けていくと……?
戦闘の緊迫感とキャラのほのぼのしたノリが壊滅的に合っていない本作なのだが、
しばらく話数が進んでくると(4話くらいか)、
キャラと作風が噛み合ってきて、作品の持ち味が見えてくる場面もちらほらあった。
シリアス要素が足引っ張ってるだけで、掛け合いはそんなに悪くないなと思い始めた頃、
伝 説 の 6 話 ☆ ラ イ ブ 回
いわゆるギャグ回なのだが、この回はとても突き抜けていてなかなか面白かった。
バトルやらないで日常パートだけやってればいいのになんて思わせられていた。
●後半から
6話を転機に、シリアスギャグ路線で見るのもよさそう、と楽しみ方の立ち位置ができてきたためか
掛け合いも一層楽しめるようになってきて、わりと面白く観れるようになってきた頃。
9話で再びその認識が崩れ去る事件が起きる。意外なところで伏線が回収され始めたのだ。
10話ではOPシーンに繋がる演出も相まって、栗山さんにも感情移入できるようになってくる。
全く心情が理解できず、矛盾だらけという印象でどうにも魅力を感じなかった栗山さんが、
ここにきて結構好きなキャラになってしまった。
ひどいシナリオで悪い意味でラノベだなとか言っていたのを、見直すことになった。
やっぱ文章書きが書いた作品だけはある、意外にしっかりしてる作品だったんだなーと思わせられた。
最終的には話としてはあまり解決しているようには思えず、疑問点も残るが、
ラストの作画・演出は臨場感溢れていて、なかなか没入感を得られた。
その点はやっぱ京アニすげえな、と。
■不愉快です の活用は見所
「不愉快です」はこの作品の代名詞といってもいいほど乱用されてきたキーワードだが、
単なるキャラ付けとして乱用されているテンプレ口癖かと思いきや、
要所要所で使い方を応用し、面白おかしく効果的なセリフになっている。
そしてこれを利用した心情表現が上手い。
この作品の楽しみ方として、「不愉快です」の変遷を追うのも一興かもしれない。
☆総じて☆
初め1~3話の印象が悪かったが、次第に作風に味を感じてきてじわじわと持ち直していった。
9話10話で栗山さんに感情移入できれば、なかなか劇的な作品になると思う。
どちらかといえば粗さも目立って、ズバ抜けた面白さもないつまらない方のアニメだと思うけれど、
好きになれる要素は散らばっていて、試みもあり、キャラクターが良かった。 わりと愉快なアニメでした。