退会済のユーザー さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:----
ペラペラの彼女
またレビューのない作品にかきこんでみる
風変わりだけどオーソドックスな作品だった…
手塚治虫原作。作品自体は没後の1985年作のOVA。
一年前は成績優秀だったのに、なんだか成績が落ち、担任がかける言葉もクラスメイトの笑いも勘に触るようになってしまった少年の話。自分だけがこのくだらない世界に馴染めやしないんだ…畜生どもめ…!とやさぐれた気持ちで歩いていたら、ガード下に貼ってあった一枚のポスターが輝いて見える。
ポスターの中には笑顔のセーラー服の少女の姿。彼がすっかり魅入られ、話しかけると、麗しい声が返ってくるではないか!このペラペラな彼女、会話ができるのだ。
いそいそとポスターをはがし、自宅へ持ち帰り一緒に生活しだすのだが…
「るん」はポスターの文句の一部から取って名付けた名前。
帰れば彼女が居てくれる。それだけで楽しく生きられる気がしたものの、夢中になるあまり現実の都合が目に入らなくなり、周囲から浮いてどんどん変人扱いされる。このへんの混乱が痛くて笑える。
学校にまで彼女を連れて行っちゃってポスター盗られたり、
この彼女が「変な人が私を見てるの」と怯えるので外を見ると選挙ポスターがあって、彼女のために少年は塗りつぶしに行ってこっぴどく叱られたり。
そんなこんなで問題ばかり起こして、ひとり親の父との仲も荒れてくる。
「ぶら下がり健康機」が少年の部屋にあって、時代を感じさせる〜と思ってたら、
もう世の中が嫌になった少年が、ぶら下がりのバーの部分におもむろに縄をかけて…。あの手…手塚治虫的なモチモチしたクリームパンみたいな手でクルリと上手に輪を結ぶ作画さばきに、う わ ぁ〜と…なったその時、ペラペラのポスター少女が必死でとめにかかった。
やめてやめて!やめてくれないなら私を破り捨ててからにしなさいよ!あなたのそんな姿みたくない!弱虫!なにか目標をもって行動してみなさいよ!どこかにいる本物の私を探してみなさいよ!
思ってもみなかった提案に、少年は少女の実像を探すことを死ぬまでの「暫定目標」として動き始める。
一転して「会えたらこんなこと言っちゃおう…(@ ´ ρ ` @)ウクク」と浮かれだすんだけど
これまでの独りよがりな空気から、先がこわい。見つかっても一方的な想いを拒否されたらどうするんだよ。クリームパンみたいな手で今度は何をするつもりだよォー( ;´Д`)
ここからすんなりとは少女の居場所が掴めず、猶予の日々の中で少年は、多少の目線の変化や時の過ぎる意味を感じ取ったりする。
やがて少女本人と会える日が来るのだが、拒否はされないかわりに意外な事実がわかる…
という風変わりなボーイミーツガールもの。
最後はアッサリ爽やかで、中盤のハラハラさからすると「ア?´д` そうなるん。よかったね」ってオチでした。
わかりやすく「二次元の夢に閉じこもってないで現実にでようぜ!」っていう内容ですが、現実として描写される彼氏彼女もクリームパンみたいなワケで、あんまり現実味ないワケで、混乱部分を笑う作品でしたるん。