まーさちゃ さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
働く、ということ。
シンプルなストーリー展開で、ほのぼの系が好きな人にはオススメ出来る。
多くの方が指摘するように、朝ドラや昼ドラ(サスペンスじゃないやつね)を鑑賞している感覚に近い。昔、「温泉へGO」っていう、加藤貴子さんが主演している昼ドラがあったが、ああいう感じかな(違うか)。全然関係ないが、あの昼ドラが何故か好きだった。
このアニメは、喜翆荘という旅館を舞台に、松前緒花という女子高生が、仲居さんの仕事を通して、色々な人との交流・衝突等を繰り返しながら成長していく物語だ。
ただ、緒花は母子家庭で育ち、実の母親の身の回りの世話なども献身的にこなす少女であり、「人に奉仕する」「人に尽くす」という事を知らず知らずのうちに身につけている。この点で、同世代の女の子に比べれば「大人」である。
確かに、喜翆荘で初めて学んだこともあり、その部分で人間的に成長はしているのだろうが、既に「人に奉仕する」という基本が身に付いている緒花であれば、遅かれ早かれ、どんな仕事に就いていたとしてもその段階には達していただろうと思う。
あるいは、四十万翆と出会い、四十万翆のようになりたいという夢を見つけたことが、緒花にとって最も大きな財産になっただろう。
個人的には、「働くこと」「人に奉仕すること」を緒花以上にさっぱり分かっていない主人公を見てみたかった。そちらの方が、人間成長ドラマとしては面白かったのではないか、と思う。
また、緒花は、仲居さんの仕事が嫌になれば、東京にいる母親と再び暮らすという逃げ道があり、「働く」=「生きる」という切羽詰まった状況にはない。事実、度々東京に里帰りしている。これが、作品全体に漂う「緩さ」の原因ではないか。民子のように、喜翆荘を追い出されば、住む場所すら無いという生活状況の方が切迫感があり、「働く」ということに妙な緊張感と説得力を持っている。
この点が、このアニメを今ひとつ絶賛出来ないポイントでもある。