かしろん さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
キャラの食い足りなさ
TVノーカット放送を見て
あらすじ
{netabare}
苦学生としてバイトをしながら大学に通う花は講義で出会った不思議な雰囲気を持つ男に心惹かれる。出席票も出さず、この大学の学生ではないと語る男。
その男と心を通わせる日々。その中で彼は一つの真実を告げる。
彼はおおかみおとこ。絶滅したニホンオオカミというもう一つの姿をもつ男。
それでも、花の思いは揺らぐことはなかった・・・・
{/netabare}
{netabare}
評判の良さに期待をして見たんだが・・・
物語:夫を失った若き二児の母の子育て奮闘記、というか巣立ちの話というか、親は無くとも子は育つというか。
見終えてもグッと来るものはなく、なんか物足りないなぁ・・・と思えた。
何を物足りないと感じるのか。
考えてみて、気が付いた。
母親の花。子供たちの雪と雨。この三人以外のキャラが完全に使い捨てで食い足りないのだ。
母子家庭、寡婦の大変さを出すために使い捨てられる夫。
都会の冷たさを表すために使い捨てられるアパートの住人や大家や役所の人々。
人目を避けて田舎暮らしをするはずが、温かい人達ばかりでとても幸せを表すために使い捨てられる田舎の人々。
農作業の大変さを表すために使い捨てられるじいさん。
娘が人間として成長していくためのキーとなる男の子。
息子がおおかみとして成長していくためのキーとなるキツネ。
尽くにそのワンエピソードを消化するためだけのキャラとして存在し、物語の大筋として誰も絡んでこない。伏線として生かされてもいない。
じゃあ、メインキャラが非常に魅力的に描かれているのか?というと、それもない。
子供たちの成長過程はなかなかに面白く、無邪気でおてんばだった雪が人として目覚めていくうちにどんどんおしとやかになっていき、引っ込み思案で活発ではなかった雨がおおかみとして目覚めていくうちにどんどん活動的になり身体能力で姉を凌駕する存在になっていく、という描かれ方も分かりやすくて良いのだが、問題は主人公の母親だ。
彼女が子供に見せる強さと脆さ。これが決定的に足りない。
ワンシーンでよい。彼女が子供の頬を殴り、泣いて喚いて抱きしめながら子供を叱る場面が欲しかった。
全編通してだが、どうしてよいかわからない時は、彼女はその行動をテキストに頼りそれを実践していく。まるでロボットのように。彼女が子供たちに心をぶつけられない理由はそこなんだろう。子育て本に「時には子供を殴って心を吐露して全力で子供とぶつかろう!」なんて書いてあるワケがない。ここを脱することが出来ないキャラを描いているなら正解なんだろうが、子育て巣立ちがメインの話でここを脱せれないでどうする、と。
そんな彼女のエピソードで良いと思ったのはラストのみ。
辛い時ほど笑顔でいろ。そうすれば前に進める。
亡き父に言われ、父の葬儀ですら微笑んでいて親戚に不謹慎だと怒られた彼女。
夫に先立たれ、息子は早々に自分の元から巣立ちをし、そして娘は全寮制中学に入学する為に家を出る。
そんな娘と撮った入学式の記念写真。
彼女が浮かべるのは微笑み。
作画:とても美しい背景にノッペリと描かれるキャラ画という細田作品のいつもどおりの画。涙の流れ方も相変わらず。正直、キャラ画がノッペリし過ぎていてあまり好きではない。
背景はとにかく綺麗。
動きはさすがによく動いている。雪山や森での疾走シーンはお見事。
声優:このキャラの描かれ方なら宮崎あおいで良いと思う。演技の出来る声優だと描かれ方とのキャップが出そう。
子供たちもまぁまぁ良かったと思う。
音楽:動きと音楽が綺麗にシンクロして、ってのは劇場BGMとして定番だが、やはり見ていて気持ちが良い。
主題歌は流れなかったので分からず。
キャラ:物語にて書いたとおり。どのキャラも魅力が薄い。
無邪気に飛び跳ねてる雪はよかったが。
{/netabare}