はなび@虹色 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
『自分の気持ちに気づく』までの物語
盛るぜぇ、超盛るぜぇ~!!
(意訳:5000字以上の長文レビューです。閲覧時はご注意ください^^;)
わたしの、「とらドラ!」の楽しみ方
「登場人物のキャラ設定における、絶妙な『ずらし』」
「キャラ一人一人に物語がある」
「『自分の気持ちに気づく』までの物語」
わたしの、総評です。
感動!超感動!大好きな作品です!
登場するキャラ達は表情が豊かで、
人間くさくて、みんなとっても魅力的です!
心理描写がとっても丁寧で繊細です!
何気ないシーンに揺れ動く気持ちが描かれています。
たいせつな伏線が盛り込まれています。
ボーっとして見ていると、
複雑に動き続ける気持ちに気がつけなくなっちゃう。
一話たりとも見逃せない展開です。
名セリフ・名シーンが多いこと多いこと!
2クール目に入ってからは、
怒涛の名シーンラッシュが訪れます!
かといって、1クール目がだれているなんてことは全然なく、
全編通して見返すと、きらりと光るシーンが、
1クール目にもたくさんあります!
「ラブコメ」とひとくくりにするのを躊躇するほど、
恋愛、友情、家族の絆、青春、笑い、etc・・・、
たくさんの要素がふんだんに盛り込まれている作品です。
「恋愛」という方向性から見た後に、
「友情」という方向性から見て、その次に、
「家族愛」という方向性から見ていく。
葛藤と、その末に出した答えがしっかりと描かれていて、
どの方向性から見ても、まんまと感動させられます^^
甘いだけのラブストーリーではないです。
複雑で、交わしあう言葉がいちいち、深くて、重いです。
でも、それぞれの気持ちに寄り添って、
しっかりと読み解いていくと、
まるで、青春時代を追体験したかのような、
さわやかな感動を与えてくれる、名作です!
わたしの、楽しみ方の解説、いきまーす。
「登場人物のキャラ設定における、絶妙な『ずらし』」
{netabare}
秀逸だと感じたのは、キャラの性格の設定。
絶妙なバランスで性格に「ずらし」が入っています。
竜児は目つきは怖いけど、優しくて家事万能。
大河は小さくて美少女だけど、けんかっ早いドジっ子。
これがもし逆だったとしたら、と想像してみると。
たんなる暴力青年と穏やかなお嬢様になっちゃう。
まったく別の物語になっちゃいますよね。
みのりんも明るい元気なバイト少女かと思いきや、
本心を明るさで隠していたり、繊細なところがあったりする。
あーみんも、ぶりっ子のふりをして毒舌な性格を隠していたり、
大人ぶっているけど、大人になりきれていなかったり。
北村くんも、生徒会でがんばる、品行方正な優等生のようでいて、
すべり芸のようなギャグセンスだったり、裸族だったり^^
その一筋縄では理解できないキャラの性格が、
キャラに人間臭さと深みを与えて、物語を面白くしています!
{/netabare}
「キャラ一人一人に物語がある」
{netabare}
とらドラ!の素晴らしいところ。
キャラ一人一人が葛藤していて、物語を持っていること。
竜児サイドから見た後に、大河サイドから。
北村くんから。みのりんから。あーみんから。やっちゃんから。
どのサイドから作品を見返しても、物語がきっちりと描かれていること。
高須 竜児
{netabare}
竜児にとって、いちばんたいせつなものは何か?
それは家族だと、わたしは思います。
必死に働いているやっちゃんのために
竜児は毎日、ご飯を作って、家事全般こなして、
やっちゃんが喜ぶ顔が見たくて、勉強も頑張っている。
互いに相手を想いあって、足りないところを補い合っている。
ある意味、理想の家族の1つの形なんですよね。
竜児は、やっぱり魅力的な男性だと思います!
たんに家事が得意だから、優しいからではなく、
父親のような懐の深さと、母親のような温かさの、
両方を感じさせてくれるところがすごく魅力的!
おまけに家族想いで、困っている人を見たら放っておけない。
そんな男子、女子なら放っておけないです。
もう、かっこいい!!
わたしも竜児の家族になりたいって思いましたもん。
{/netabare}
逢坂 大河
{netabare}
大河は、すごくさびしい時間を過ごしてきた女の子だと思います。
再婚した父親からは離れ離れにされて、
あんな広い部屋に小さな大河がひとりきりで置いて行かれて。
竜児と出会う前の大河は、
毎日、家に帰ってきて、どんなことを想っていたのだろう?
家の中のあまりの寂しさに一人泣いていたのかもしれません。
哀しいことがあったときは。楽しいことがあったときはなおさら。
そんな高校生活、わたしには耐えられないです。
大河が、いちばん求めていたものは何か?
それはやっぱり家族だと、わたしは思います。
だからこそ、竜児とやっちゃんとインコちゃんの2人+1羽の家族に、
大河が惹かれていったのではないかなって。
なんだかんだ言って、作中でいちばん成長したのは、
大河だったんじゃないかなー。
身の回りの片づけ、家のこともしっかりできるようになった。
しょっぱいクッキーしか作れなかったのに、
手作りのチョコレートまで作れるようになった。
これってやっぱり、竜児の存在があったからなんだよね。
{/netabare}
北村 祐作
{netabare}
北村くんは、竜児とは違った魅力を持っています。
北村くんの魅力は、一途なところ!!
大河が不器用なりにも猛アタックしていたのに、
北村くんは最後までそれになびかなかった。
竜児の存在は当然にあったのだろうけれど、
それ以上にすみれ会長のことを想い続けていたんでしょうね。
大河が、北村くんのすみれ会長に対する想いを知ったとき、
「やっぱり、わたしの望むものは手に入らない」って、
もしかすると、心の底で感じていたのかも・・。
罪な人ですが、ブレない男性っていうのは、やっぱりかっこいいです!!
友達想いで、気は優しくて、勉強もスポーツもできる。
それでいて、裸族なところとか、抜けているところもかわいいです^^
竜児にとって、北村くんの存在は、
とっても心強いものだったに違いないです
あと、北村くんのアメリカ留学って、
すみれ会長を追いかけることにしたってことでいいんですよね!?
とらドラ!の後日譚が描かれるとしたら、
北村くんとすみれ会長のその後がめっちゃ気になります!!
{/netabare}
櫛枝 実乃梨
{netabare}
みのりんにとってのキーワード。
見えているものと見えないもの。
見えているもの、というのは、
部活、バイト、自分の夢、大河との友情。
見えないもの、というのは、
幽霊、UFO、恋愛、そして、竜児への想い。
見えないものに目を向けようとした。
でも、その結果、見えているものが見えなくなりそうになった。
おろそかにしてしまいそうになった。
そんな自分が、許せなかったのではないかって思います。
だから、竜児への想いよりも、大河への友情を選んだ。自分の目標や夢を選んだ。
作中でいちばん葛藤しているのは、多分、みのりんですよね。
大河にとって、いちばん身近な存在だったのはみのりんだから。
大河のために行ってきた竜児の頑張りを、
いちばん間近で見ていたのも、また、みのりんなんだから。
親友としての大河への友情と、
竜児を好きになってしまった罪悪感。
これがそのまま、見えているものと見えないものとの、
みのりんの中での葛藤につながっているんですよね。
みのりん、めっちゃつらかっただろうな・・。
あと、みのりんは言葉のセンスがものすごい!
とらドラ!の作中の名言・迷言は、
ほとんど、みのりんのセリフだったような気が・・。
みのりんの言葉は、物語に深みを与えているので、
みのりんの言葉を読み解いていくこと自体が、
とらドラ!の楽しさのひとつだったりします^^
{/netabare}
川嶋 亜美
{netabare}
あーみんは、とらドラ!のなかでもいちばんのキーパーソン。
竜児 ⇒ みのりん
↑↓
大河 ⇒ 北村くん
この4人の構図だと、バランスを崩そうとする存在がいないから、
物語が進展しないような気がするんですよね。
この4人の間にあーみんが入ることによって、
不安定なバランスが保たれるというか。
その不安定さが、物語を動かす原動力になるというか。
あーみん報われてない、あーみんかわいそう、っていう意見も聞きました。
たしかに、憎まれ役みたいな部分もあって、
意地悪な女の子みたいに見えてしまうこともありました。
でも、報われていないっていう風には、感じなかったです。
あーみんが作中で涙を流すのは、ストーカーを撃退した瞬間だけ。
それ以降のあーみんは、なんだか吹っ切れてる。
この経験を通じてしっかりと成長しているんですよね。
みのりん風に言えば、あーみんは「人生に転んだ」とは思っていなくて、
きっと、これからも順風な人生が待っている。
そう思わせてくれる強さが、あーみんにはあります。
みのりんとは別の意味で意味深な言動が多くて、
複雑な関係を自ら作って、それがより物語を面白くさせています。
あーみんの言葉を読み解いていくことも、
また、とらドラ!の楽しさのひとつなんですよね^^
{/netabare}
高須 泰子
{netabare}
やっちゃんは、じつは本当のスーパーお母さんなんじゃないかと!!
女手一つで竜児を高校生まで育て上げるってすごいことだもの!
しかも、竜児は家族想いで、家事全般できて、勉強もできて、
父親のような懐の深さと、母親のような温かさを持っている。
そもそも、やっちゃんが大河のことを家族だと認めず、
竜児といっしょにご飯を食べるのを拒否していたら、
ふたりの物語は、始まることすらできませんでした。
竜児を完璧に育て、あげく恋のキューピッドにまでなってしまった。
やっちゃん、本当にただものじゃないです!^^
やっちゃんがお父さんとお母さんと和解できて、
竜児と縁側で話していた時のシーン。
わたしが「とらドラ!」の中でいちばん感動した、泣いたシーンです。
これまでの苦労を家族に認めてもらえて、ほんとよかった・・^^
{/netabare}{/netabare}
「『自分の気持ちに気づく』までの物語」
{netabare}
ある日、大河が家に転がり込んできた。
やっちゃんが大河を家族だと認めて、
いっしょにご飯を食べるようになった。
竜児は大河の分のご飯もお弁当も作るようになった。
いつの間にか、大河のことを家族のように思うようになっていた。
これって、恋愛とはちょっと違うのかもしれません。
だって、竜児と大河は、本来の「恋愛」ってステップを飛び抜けて、
いきなり「家族」になっちゃっているわけだから・・。
竜児がいちばん大切にしているものは、家族。
大河がいちばん求めているものは、家族。
そんなふたりが出会って、家族同様の生活をするようになった。
その時点で、ふたりがいっしょになるって展開は想像していました。
そして、ふたりがお互いを大切に想っていることに「気づく」
北村くんも、すみれ会長が去って、生徒会長として仕切って、
会長の存在の大きさ、想いの大きさに「気づく」
みのりんも、親友として大河のそばにいて、竜児への想いに「気づき」、
そして、自分にとって本当に大切なものに「気づく」
あーみんも、大河たちと出会って葛藤して、
装っている自分のではなく、自分の気持ちがどこにあるのかに「気づく」
やっちゃんも、家族と和解することができて、
自分が歩んできた人生が、恥じることは何もない、誇れる人生だったことに「気づく」
キャラみんながこの物語を通して、何かに気づいて、
そこからまた歩き出そうとし始めるところで、物語は終わります。
この先の未来には、きっと明るいことが待っているっていう、
期待と予感を感じさせる終わり方になっています。
だから、見終わった後に、
すがすがしくてさわやかな気持ちになれるんでしょうね。
素晴らしいハッピーエンドだと思います。
やっぱり、わたしは、ハッピーエンドが好きなんでしょうね^^
{netabare}
でも、最後の最期で、ひとつ気になったことがあります。
最初と最後に出てくる、「そういう風にできている」っていうセリフ。
たしかに、最初と最後を統一して「ロマンチック感」は出せたのかもしれません。
だけど、わたしはその、運命論っぽい感じが好きになれませんでした。
ふたりがなぜ一緒になったのかはきちんと描かれています。
なりゆきで「そういう風」になったわけじゃなくて、
困難を乗り越えて、葛藤の末に出した答えなんです。
それを、あらかじめ決められていたみたいに締めるのは、どうなのかなと。
ちょっと気になった程度のことです。
もちろん、それを差し引いても、名作であることは揺らぎませんけれどね^^;
{/netabare}{/netabare}
わたしなら、こんな方に「とらドラ!」をおすすめ!
「アニメ好きな人にならだれにでも」(ぶっちゃけ、みんなに見てほしい^^)
「とにかく密度が濃くて何度見ても楽しめるような作品を探している方」
「人間的な魅力にあふれるキャラとストーリー重視の作品を探している方」