三崎鳴 さんの感想・評価
3.7
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 2.0
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ここまで濃厚に人間を描いたアニメはこれから現れるだろうか
「15少年漂流記」や「蝿の王」をモチーフとして制作されたオリジナルアニメーション作品。「コードギアス」や「スクライド」を担当した谷口監督と言う事もあり、作品の完成度は高い。あらすじは以下の通り(wikipediaより引用)。
2137年、大規模な太陽フレアによって出現した高密度のプラズマ雲が、黄道面を境に太陽系の南半分を覆いつくし、地球も南半球が壊滅、17億もの人命が失われる被害を受ける。このフレアは「ゲドゥルト・フェノメーン」、プラズマ雲は「ゲドゥルトの海」と名付けられた。2225年、地球の衛星軌道にあった航宙士養成所リーベ・デルタは、何者かの襲撃によって制御不能になり、ゲドゥルトの海へ突入してしまう。しかしその時、リーベ・デルタ内部に隠されていた外洋型航宙可潜艦「黒のリヴァイアス」が起動した――
設定や大まかなあらすじだけを見ればSFの様だが、実際に監督の描きたかったものは人間の本質。話が進むにつれ人間関係図や人物像も大胆に変化していく様子が濃く描かれる。状況が悪化していく中で主人公の周りの人間の心は段々と壊れていき、人間関係の渦に巻かれ泥沼に足を踏み入れることとなっていく。このテーマに置いては一級の作品であり心理描写も丁寧でよく描かれてはいるものの、問題は展開の遅さにある。確かに状況が徐々に少しずつ悪化していく様子を描くのにはまったりと進めていく必要があるが、肝心の部分に持っていくまでの下地作りが長すぎるように思えた。戦闘シーンは地味で味気なく、船外の事情も伝わりにくい。又、過激な描写も多く、これを夕方の時間帯に流そうと思った監督には敬意を表したい。
作画こそ見劣りするもののヒューマンドラマとしてのアニメでは歴代でもトップクラス。
じりじりと追い詰められていく感覚は他の作品ではそうそう味わえたものではない。只、視聴者を選ぶ作品ではある為誰にでも勧められる作品と言うわけではない。閉鎖空間の中で苦しみながらも未来を目指す少年少女の半年間。