おふとん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
緩やかに過ぎていく、田舎の日々。
いきなり自分語りですんません・・・
母親の実家が東北の山間の田舎町で、小学生の頃まで夏休み・冬休みの里帰りについていくのが
楽しみでした。都会とは違う何とも言えないゆったりとした時間の流れ、素朴な人たち、
実家の玄関をくぐった瞬間に方言全開、地元民モードに突入する母もとても楽しそうでした。
夏の夜は涼しくてエアコンなんかいらなくて、窓全開にして蚊取り線香たいて寝て、
冬は必ず雪が降って、雪で滑って側溝(田舎のは妙にデカイ)に落ちて大泣きして・・・
と、まあそんな感じのベタな田舎の記憶を思い覚ましてくれる作品は、ゲーム『ぼくのなつやすみ』
以来絶えてお目にかからなかったのですが、来ましたよコレ「のんのんびより」!
とあるド田舎の分校に通う4人の女の子の日常を描いた、ドラマも山場も無い、何でもないアニメ。
「駄菓子屋に行った」「文化祭をやってみた」「かまくらをつくった」etc...毎回サブタイトルのまんま、
本当にそれだけのシンプルなストーリー。 1クールで劇中の1年。行事や季節の食べ物、
虫の鳴き声、動植物の描写、そして綺麗に描かれた背景画で田舎の四季を楽しませてくれます。
例えば歩く動作にしても、引きのカットで十分に間をとることで、人物から背景画に目を移す余裕が
あったり、食べる・遊ぶ・ねる等何でもないことでも、丁寧な間で描かれていたりで退屈しない。
リコーダーやハーモニカを使った緩やかなBGMと相まって、田舎に流れる時間の演出が素晴らしい。
かと言って田舎を前面に押し出しているわけでもなく、あくまで代わる代わる主役を務める4人の
女の子が主体。しっかり個性分けされていて、れんげ、夏海、小鞠は田舎の素朴さを持つ
女の子でそれぞれ「不思議」「弄り」「弄られ」。転校生の蛍は都会的な洗練さと「百合」。
この子達による田舎なりの時間の過ごし方や波乱のない学園生活は、リラックスして観ていられる。
4人の中で少々突出している感があるのが、不思議な感性と言語感覚を持つ小学一年生のれんげ。
語尾に「ん」(稀に「な」)がつく喋り方、独特のイントネーションに全身の力が抜ける(´Д`)ハァ…
最初OP見たとき警戒信号が出たのは唯一の男キャラ卓。こいつが出てきて恋愛が絡むようなら
切ってやろうと思ってましたが、要所要所(?)でシュールな笑いを提供してくれるのに万事控えめ、
というかセリフが無い(笑)。杞憂どころかこの謎の存在感がいいアクセントになっていました。
田舎に感じるノスタルジーでは『ぼくのなつやすみ』に劣るけど、緩やかな時間の演出では負けて
ない。田舎というそれだけで癒し効果のある舞台で、個性的なキャラが演じるほのぼの日常癒し系。
癒しの相乗効果で、汚れた大人たち・・・もとい、穢れきった私の魂を浄化してくれそうな作品でした。
【投稿履歴】
2013/12/17 初稿
2013/12/25 改稿