退会済のユーザー さんの感想・評価
2.6
物語 : 1.0
作画 : 4.0
声優 : 2.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タイトルなし
この作品を最初に観た時は「つまんねぇ……」としか思わなかった。
ストーリーはなにがどうなってるのか分からず、ハウルとソフィはいつの間にか相思相愛。サリマンさんの「さっさとこのくだらない戦争を終わらせましょう」的な一言で何故かハッピーエンド風に物語が終わったことに、当時は不満しか抱かなかった。
「くだらないのは戦争じゃなくてこの作品だろ」と、そんな風に思ってた時期が僕にもありました。
で、つい先日、再視聴してみたのだけど、やっぱり感想としては「つまんねぇ」。
……うん、なにも変わらなかった。
荒れ地の魔女によって老婆へと変えられた少女ソフィー。
しかし、その境遇ゆえに年相応の少女らしさを出せずにいる彼女は、不運と呼べるはずのこの出来事をすんなり受け入れてしまう。まるでそれは、彼女の中身が容姿に反映されたかのよう。
彼女が思うお似合いの自分になったことで、かえって彼女は活き活きとしてくるのが可笑しい。しかもだ、あんまりにも老婆の姿がお似合いなものだから、観ているこっちとしても違和感がない。
老婆の姿をすっかり見慣れた頃になって、ふとした場面で少女の顔が出てくると、三割増しに可愛く見えてくるんだよなぁ。
【恋をすると女性は綺麗になる】ということを、呪いという設定を使ってこれ以上なく見事に表現しているよ。いやまいった、こんな可愛いお婆ちゃんはそういないぜ。
自分を押し殺していた少女が恋をキッカケに劇的ビフォーアフターを遂げるという、ある意味シンデレラ的(ちょっと違う?)ストーリーとして楽しむのも良いのだけど、僕個人としてはラストの、城でみんなが一緒に暮らしてる絵にグッときた。(とくに、ソフィーが少女らしい服装をしているところ!)
ソフィーだけじゃない。ハウルやカルシファーに、マルクルと荒れ地の魔女、そしてヒン。どのキャラクターも、他人の前で本当の自分を隠してる。
ストーリーが進むにつれて、そうした肩書とか取り繕ったものが剥がれていき、そのキャラの素の部分が露わになってくる。そして、赤の他人だったみんなは、最後には家族となったんだ。
ソフィーは本当の自分を曝け出して、ハウルは心を取り戻した。若さにしがみついた魔女は、最後には自分が人生で得た教訓を説いて、最初こそハウルの弟子としてどこか背伸びしていたマルクルも終盤ではすっかりソフィーに甘えていたり、サリマンの使い魔であったヒンは最終的にペット――ただの犬である。
そんな彼ら彼女らのゆるやかな変化は、奇妙な家での共同生活が大きな原因。
なんてことはない、この作品はラブロマンスっぽいホームドラマなのだ。
自分に正直に【生きる楽しさ】。男女の恋、家族としての愛、どちらも含めてこそのキャッチコピー【愛する歓び】なんじゃないかな。
唐突に思えるキャラの心理描写も、城での生活の様子を振り返ってみればなんとなく想像できてしまう。多分、特別な何かがあったワケではなくて、生活しているうちになんとなく、なんだろう。家族という枠組みの中で、本当の自分らしく生きるって良いことだよねって、そう言いたいんじゃないかなー。
まぁそれにしたってストーリーは全然面白くないし、楽しくもない上に終盤のとってつけた感は、
酷い。
この一言に尽きる。
描きたかったのが終盤のシーンだとしても、そこに至るプロセスを描けてないからなぁ……。