jethro さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
親子のような二人の生きざまに感動
森宮 依人(もりみや よりと)は空の写真を撮ることが好きな高校一年生
ここ数カ月、たった一人の身寄りである姉の蒼乃(あやの)が入院しているため
学校と病院を行き来する生活が続いていた。
そんなある日、夜明けの空を撮影するため夜の公園へ出かけた依人は
自動販売機に蹴りを入れている不思議な少女 茉莉(まつり)に出会う
バトル要素も盛り込んだ伝奇的ラブファンタジー
「空が見たい」彼女は言った・・・
それがすべての始まりでした。
「空」をテーマにしていながら物語のほとんどは
夜か雨のシーンで
なおかつヒロインである茉莉や蒼乃の暗めなイメージも重なり
どんよりとした雰囲気が全体を通しての印象
この雰囲気に馴染めないと離脱の可能性は大きいかもしれません
ただ、物語後半は、予測不可能な驚愕の事実が明かされる事により
「sola」という感傷的で柔らかそうなイメージのタイトルとは
大きくかけ離れるような、スリリングなバトル展開へと発展します。
しかし表の物語とは裏腹に語られる伝奇的なエピソードは
やり切れないほど感傷的です。
本作で最も魅力的だったのが
主人公たちのメインエピソードではなく
繭子(まゆこ)と剛史(たけし)の物語です。
箱の中に眠る少女
ファミレスでの食事
親子のような二人
夜の街を手をつなぎ歩く二人の後ろ姿
どれもこれもが心憎いほどの美しさを放ちます。
心がグイグイと締め付けられるような
二人の生き様に
その儚さに
涙腺の蛇口は破壊され修理不能状態
思いやりが人を傷つけ
優しさが誤解を生む
負の連鎖の中だからこそ、懸命に生きていこうとする
そんな人々を詩情溢れるタッチで描く良作です。