だわさ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
奥ゆかしい繊細なセリフの光る人にオススメしたいアニメ
このアニメについて率直に言うと、面白いし、非常に深い。
京都を舞台に「狸」「人間」「天狗」が登場し、物語の主軸は主に狸4兄弟によって進められる。
狸同士のドタバタを天狗を交えて描いている、というのはあくまでも物語の表面の概観で、最終的には人間の本質を問う物語である。
というのも、「人間」についてだけ各状況における心情がひたすら隠されながら話が進行するので、
分かりにくいセリフや振る舞いから自力で心情を分析しなければならない。
意味深なセリフや動向について明確な回収が無く、余韻効果と後考察を促す構成になっているため自分なりの理解を自力で導き出す必要がある。
タイトルにある「家族」という言葉の視点をミクロとして捉えるか、マクロとして捉えるかだけでも、物語のテーマが違って見えるので面白いものだ。
もちろん、この考察を除外して純粋に狸のドタバタ劇として見ても、泣かせどころと盛り上がりの骨格がしっかりしていて楽しめるので構えて見なければならないワケでもない。
1クールながらキャラ立ちが1パターンにとどまらず、多面的にキャラを立てているのでキャラに重厚性があり、
人間の本質を問うという裏テーマに充分対応できるキャラ構成になっていると思う。
PAの背景はしっかりしていて安定。崩れたなーと思う回は感じられなかった。
雰囲気については原作小説が「四畳半神話大系」の人なので、主人公目線の思考・語りが多用されてあるあたり、かなり似ている。
小説原作の場合、序盤で少し退屈なことが多いと思うけど、この作品についても例外ではない。
とは言え「小説原作にしては」それほど退屈は感じさせない良作だと思う。