三崎鳴 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
家族ってこういうもの。
宇仁田ゆみ作漫画作品「うさぎドロップ」を原作としたアニメ作品。祖父の訃報で訪れた祖父の家で、30歳の独身男、河地大吉(ダイキチ)は一人の少女と出会う。
その少女、鹿賀りんは祖父の隠し子であった。望まれぬ子であったりんを施設に入れようと言う親族の意見に反発したダイキチは、りんを自分が引き取り育てると言った。こうして、不器用な男としっかり者の少女との共同生活が始まる。現実には当然存在する「結婚」故に渦巻く家族・親戚…にある人間模様を当事者でない独身男に体験・観察させ、一歩引いた形で描写することに物語の設定意義がある。父性的/独身である設定を通して女性の心情を映す/人間模様を客観的に描くことでテーマ性を持たせているとも言える。あくまでりんを中核として展開したものではないためトラブルメーカー的な要素であってはいけない、よってりんは「出来すぎた子供」としてのキャラクター性を確立している。“癒し”や“父性”のテーマ性を強く訴えかけるドラマとしてよく出来た作品だと個人的には評価したい。現実的なドラマを描くことはアニメとして稀有な例なので一度目を通して見てはいかがだろうか。