STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
恋によって生じる変化
原作は未読。
パッとしない女の子と、イケメン男子のシンデレラストーリーで、この手のパターンは少女
漫画の定番と言えば定番。
少女漫画の定番と書いたが、よくよく考えるとラノベなんかでもパッとしない男の子の
主人公が可愛いヒロインに好かれてしまうパターンは多々あるわけで、男女は関係ないか。
まあ世の中、ほっといてももてるような人の方が少ないわけで、こういったシンデレラ
ストーリーは定番であろうと、憧れを伴った心地良さを感じる人は多いはず。
橘 めいと黒沢 大和が序盤ですぐに恋人になってしまったように、この作品は恋の成就を
クライマックスに置かず、付き合いだしてからの互いの変化や問題点に焦点を当てている。
地味だっためいが大和と付き合うことによって、自身の心境に変化が訪れ、友人も増えてきて
という展開で、どんどん魅力的になっていく過程はよく描かれていた。
ただ、大和は回りの女の子とは違って「確固たる自分」を持っている点でめいを好きになった
わけだが、このめいの持っている「確固たる自分」は、めいが孤立していたがゆえに作られた
アイデンティティであるわけで、そこら辺が面白い。
そして、めいが自身と環境が変えていくと共に、回りもめいによって変わっていくが、
こういう互いが互いを成長させていく展開は結構好きだなあ。
一方の大和だが、見た目のイメージとは異なり、意外と真面目という設定のようだが、よく
よく考えると、成り行きとはいえ、いきなりめいにキスするわ、付き合ってもいない
及川 あさみとはキス経験はあるわ、武藤 愛子とは肉体関係があったりと、結構やりたい
放題(笑)。
大和以外も、早川 駆流は彼氏持ちの娘とセフレ関係だったりと、めいの身持ちの固さを印象
付けるための演出かもしれないが、高校が舞台の他作品に較べると随分と性的モラルは
ひどい(笑)。高校を卒業してから相当経つので、どちらがリアルなのかはよく判りませんが。
まあ、あえて大和を擁護するなら、誰にでもやさしいがゆえの行為かなと。
このやさしさはある意味美徳ではあるのだが、めいを不安にさせた要因にもなったりする
わけで、おそらく大和はもててはいても、まともに女の子と付き合った経験はあまり、もしくは
まったくなかったみたい。
見た目こそ、大和がめいをリードしているようだが、二人で手探りで築き上げていく恋
なんだろうな。
恋すればいいこともあるが、悪いこともあるわけで、二人を不安にさせることも起きる。
めい自身が言っていたように相手を好きになってしまったために、自身の視野が狭くなって
しまったこともあるが、やはり大きな問題は二人の間に入ってくる存在なわけで、その最大の
問題が北川 めぐみの存在。
序盤の愛子もそうだったが、めいと大和の恋にとって、めぐみや愛子は一種の悪役的立ち位置
だが、共に根がいい子だったりするのがやっかい。めぐみの場合は結構策士だったりするが。
大和が容姿だけで女の子を好きになるような人じゃないと判っていても、相手が人気モデル
だと、めいにとっては不安は半端じゃないだろうなと思う。
とは言うものの、めぐみが際立って可愛く、めいが回りよりパッとしないのは脳内補正
しないとピンと来ない。
これはこの作品に限らずだが、アニメや漫画の場合、意図的に不細工なデザインにした場合は
別にして、主要女子キャラはみんなそれなりに可愛くなっているので、見た目ほど設定上の
容姿のレベル差が感じにくい。
他にも色々な不安要素がめいと大和に訪れるが、この作品では割とあっさりと解決してしまう
印象。
個人的には、この作品に関しては二人の初々しさを楽しみたかったこともあって、あまり鬱
展開を引っ張るより、こういう流れの方が好きだったけど、人によってはもっと障害を引っ張る
ことで二人が色々悩む方が話に深まりができていいと思うだろうな。
この辺は個人の好みでしょうな。
キャスト的な楽しみでは、名前もないようなモブキャラを、他作品では主要キャラを務める
ような人達が名を連ねていて面白かった。