STONE さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
これぞエンターテイメント
最初に書いておくと、小学生の頃にタミヤのミリタリーミニチュアシリーズにはまってから、
戦車を始めとする陸軍モノはかなり好きで、その後プラモデルからは離れていましたが、10年
ほど前に再びリターン。他の空軍モノ、海軍モノ、銃器などもそれなりに好きですが、一番好き
なのは戦車ということで、この作品には甘いところがあるかもしれません。
殺傷のための道具である兵器をモチーフに明るく楽しい作品を作ろうとするのはなかなか
難しいようで、他作品でも設定に色々と苦労している印象があるが、この作品では「戦車道」と
いう武道にしてしまった。
この「戦車道」だが、早い話が戦車でサバゲーをやっているようなもので、戦車好きから
するとなんともうらやましい限り。
あと実際の戦闘は歩兵、砲兵、更には航空支援なども含めた総合的なものであるため、戦車
オンリーのバトルはそうあるものではなく、そういう意味でも戦車のみが戦うという
「戦車道」の存在はなかなか興味深かった。
この「戦車道」という設定から、ミリタリーものと言うより、スポーツものと言った方が
いいような作品で、ストーリーはいわゆる弱小チームが勝ち上がっていくストレートなもの。
個人的には戦車うんぬんを別にしてもこの手のストーリー展開は大好きなので、その辺も
楽しめました。
そして、この戦いを通じて、当初は戦車道から逃げて大洗女子学園にやってきた西住みほが
自分の戦車道を見つけるまでの、彼女の成長譚もうまいこと描かれている。
この西住みほを支える大洗女子のチームワークも見所の一つであったが、改めて思ったのは
チームワークを描くということに関しては戦車はうってつけだなということ。
1台の戦車を複数の人間で動かすことで戦車内のチームワークを描くことができ、その戦車が
集まってチームを構成することから、二重のチームワークを描くことができる。
これが戦闘機だと1機に対して一人ないし二人になってしまうし、逆に軍艦などは数が
多すぎてしまう。爆撃機などは比較的近い感じが得られそうだが、逆に爆撃機同士が戦うという
設定が難しそう。
まあ、軍用機、軍艦はまた別の魅力があることは重々承知しておりますが。
複数で1台の戦車を動かすため、結果としてキャラの数は1クールものにしてはかなりの
大人数。
当然、主要キャラ以外は一人当たりの出番はかなり減ってしまうわけだが、少ないながらも
そのキャラに合った的確なセリフが与えられたり、それぞれに見せ場があったりと、ちゃんと
キャラが立っているのが凄い。この辺はシリーズ構成と脚本の妙だなと思う。
戦車戦を中心とした作画も素晴らしい。
今までアニメでまともに動く戦車をあまり見ることができなかっただけに、1話冒頭の
長回しの戦車シーンに感動。仮にストーリーがダメダメな作品だったとしても、戦車の作画
だけは見る価値があると思ってしまった。
この作画レベルは最後まで落ちず、ラストの西住姉妹対決は凄かった。
正直、戦車自体の描写に関して、リアルとは言いない部分もある。特に走行性などはかなり
盛っていたりもするが、このリアルとエンターテイメントのためのデフォルメのバランスが
絶妙で、嘘臭く感じさせず、気持ち良さを感じるという、うまい落としどころを掴んで
いるように思える。
特に凄いテーマがあったり、深い考察を要するような作品ではないが、コンセプトにしっかり
根ざしたストーリーの上に、スポーツものの面白さや感動、戦車戦の迫力などをうまいこと
盛り込み、更に涙あり、笑いありといった感じで、王道を突き詰めた極上のエンターテイメント
作品。
マーチを中心としたBGMも作品にマッチしてて非常に良く、改めて管楽器の魅力を感じた
次第。