遥か彼方 さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
この作品の神さまよ、私を捨てないで下さい・・・感動は遅刻厳禁です!
原作未読。
神さまが世界を捨ててしまうと人間はどうなるのだろうか?生死の境界すらも曖昧になってしまう、それって本当はとても哀しい事なのではないだろうか・・・。
人間の生死の境界線が有る事。
それがどれ程大切でかけがえのないものなのか
見終わった直後でそれを考えている。
視聴前にタイトル、絵柄や公式のキャラから想像していたイメージ
・激しいバトルもの
・順番に仲間になって行き最終的には残酷な展開も待っている感動作
だった。
感動する場面は幾つか有る。設定などを熟知して上手くキャラに感情移入出来ていればかなりの場面で感動出来る作品だと感じた。
だが私は残念ながらこの作品に関しては「感動し損ねてしまった」感が否めない。
作品の展開自体は特殊な設定を活かせられるものなのだろうと思う。
ただ一つ一番ネックだったのが「生者」「死者」「不老不死」「幽霊」「墓守」の設定を上手く飲み込めなかった事だ。
感動する場面なのに余計な疑問が湧いてきて、特殊で興味深い世界観を楽しむ邪魔をする。
{netabare}アイが自分の父であるキヅナを埋めるシーンは勿論、ずっと彼女の為に嘘をつき続けてきた村人達を葬る {/netabare}シーンなどは感動出来る筈。
また{netabare}ウッラの恐ろしい能力をキリコと共に受け止め三人が抱き合う{/netabare}シーンも幻想的な作画の魅力でもっとグッと来るものがあったと思う。
そして最後の{netabare}実は本当に死んでいたのはアリスの方で、彼が自分を犠牲にして皆をループから解き放った {/netabare}シーンなどは本来なら泣けない筈が無い。
流石にここでは私も残された彼に切なくなり見入ってしまい、これは良い掘り出しものだった。と素直に感じられた。
感じられた直後それは起こった
{netabare}アリスの墓が画面に映された後、墓の前に立っているアリスがいた{/netabare}
・・・?????
アイの力で助けられた様だが・・・そこまで出来るアイは何者!?後、このアリスは生者なのか死者なのか幽霊なのか?
この世界は「願い」が一つのキーポイントとなっているみたいだが(願いによって特殊な能力などが次々と出てくるから)願いが叶えられる世界なら、アリスは「何で俺を助けた?」とアイに尋ねていたが、本当はアリスの願いが叶えられたのかも知れない、とも思えて来る(まあアイなのだろうが)
アリスの最後のどう解釈して良いのか謎な一言と存在に
「私は神さまに投げ捨てられた・・・!?」
と正直呆然としてしまった。
アリスの誕生日を祝ったのも{netabare}実は彼がもう現実では歳を取れない存在だから{/netabare}なのだと気付いた時、遅れて何とも言えない切なさがこみ上げてきた。
こんな感じでこの作品の数々の感動は遅れて来る気がする。
感動を感じるシーンでは感動の代わりに他愛ない疑問を感じてしまっているからだろう。
その疑問を解いてやっとそこに感動出来ると言う、何とも勿体ない見方をしたものだと思う。
だが初見はそう言う見方しか出来なかったのが正直な感想。
きっと本来ならあの幻想的な光の中で消えゆく存在や思いに素直に胸を打たれる筈なのだろう。どこか欠けている儚げで美しい世界にアイと一緒に思いを共有出来る作品なのだろう。
舞台は充分に整っている。役者も魅力的なキャラばかり。
盛り上げる音楽も神聖さを醸し出していて申し分無い。
足りないのは・・・・・・
遅刻と言う間抜けな自分の感動を探してアタフタしている観客(自分)かも知れない。
続編が有ればきっと観る。
今度はきっと感動に乗り遅れる事が有りませんように、神さまに祈りながら。