HG anime さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
私の少年の心は常に色あせずに時渡りしています。
映画ポケモンの名作は?と聞かれたらミューツーの逆襲や水の都を第一に挙げる人が多いと察しているが、自分はこの作品も傑作の一つであると思っている。公開当時小学低学年生だった私は劇場でこの作品を観た。当時としては綺麗で手の込んだCGを駆使した作画にびっくりしたのを覚えている。
当作品の悪役はロケット団幹部のビシャス。彼はまさに正統派悪役で、野心に満ち、人間の醜悪を具現化したような人物である。セレビィを捕まえる前には巨大ロボで セレビィを捕まえた後はセレビィの能力でこれでもかと自然をブチ壊す。しかし、恥を忍んで言えば、ダークセレビィが作り出した化け物が破壊光線をまき散らす場面にどこかスカッとする人間は私だけではないだろう。どこか、風の谷のナウシカにでてくる巨神兵やエヴァンゲリオンでエヴァや使徒が放つビームを想起させるものであり、・・・スカッとする。かっこいいからしょうがないが、もしかしたらそれにとどまらず、鬱蒼と生い茂る自然を無意識に邪魔に思っている心理がそう感じさせているのかもしれない。実家が田舎にあり、幼いころから自然を身近に感じている私は、自然の綺麗なところとあわせて恐ろしいところを知っているつもりだ。人間が進化の過程で自然を開拓してきたのは、その環境が自分達に合っていなかったからだと思う。ここまで文明を築き、余裕をもって自然を楽しめるほどの力をもった現代の我々にはあまりピンとこないけど、古代から人間の最大の武器の1つは『投擲(とうてき)能力』であり、例えば邪魔な障害物の多い森林なんかは古代の人間にとって狩りに適さない地帯だったと思うし、時代が進んで文明を発展させる段階にきたときは当然適地ではなかった。だから、人間は自然を開拓したと思う。しかし、森林は空気洗浄をしてくれるし多種多様な生物の住処なので度を過ぎた破壊は、文明のある程度発展した現代では特に悪だというのは筋が通っている話だ。ビシャスは誰の中にもいる、人間が己の力を暴走させた悪の側面だと思う。また、ビシャスは作品の最後でとっちめられるが(笑)、そのときのビシャスはまぁ哀れで、威勢を完全に失っていた。その様はとても人間臭く、歴史上多く存在する、『権力をもってもそれをコントロールできずに、逆に権力にコントロールされた人間』の哀れさを子供に教えるにはもってこいの帝王学題材をこの作品は世の親に提供してくれている。
あんまりポケモンをガチ推察するのは滑稽にみえるかもしれないが、ポケモンは、ゲームして楽しい・映画やアニメを観て楽しい・それに加えていろいろ学ぶこともできる ということを知って欲しくてつい熱がはいってしまう。いろいろな視点から児童向け(最近そうでもないかもしれないが)映画を観てみるのも面白い。
話は変わるが、ロケット団のムサシ・コジロウ・ニャースは映画ではいつもいい奴らだねw それと今作でオーキド博士の過去を知れて良かった。
あとはまぁ・・・スイクンかっこいいですわなぁ~^^