Lovin さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
見た感じ
■概要{netabare}
原作:たがみよしひさ(月刊少年キャプテン)
監督:出崎哲
脚本:平野靖士、小出一巳、出崎哲
キャラクタデザイン:四分一節子
制作:葦プロダクション
主題歌:「LOVE IS HEART -星座の子供たち-」
by 杉本誘里
{/netabare}
■主な登場人物
戦士(主人公)
只管生き残ることだけを考えている一介の戦士
女性戦士
当初は主人公を嫌っていたが終始行動を共にする
隊長
主人公の過去の上司で現在は後方支援に勤務
爺さん
様々な事実を知る殆ど機械化された老人
■感想
原作漫画は既読でLDを視聴。まずTV放送にてEDのみ視聴、次に原作コミック全三巻を購入、そしてヲタ先輩宅でLDを視聴。
世界設定は、大多数の民(ピープル)が居住する地域は町(タウン)、選ばれた一部の市民(シチズン)が居住する地域は市(シティ)と呼ばれている。町に住む民は、豊かな生活が保障されていると言われる市民になるため戦士(トループス)へとジョブチェンジし、指定される戦闘区域に赴く。そこで挙げた戦果がポイント換算され蓄積すると、Eから始まる戦士ランクがAまで上昇し市民となり市に行くことが可能となる。
一言で言ってしまうと、色んな作品から色んな要素を拝借した内容だ。まあこればかりはどうしようもなく、どんな作品にも言えることなので仕方の無いことではあるが。強いて言えばマッドマックスの世界でランボーが活躍する、というような内容である。
原作読者の立場から言えば、少々進行が急ぎ足な感じは否めないと思う。特に前半の女性戦士が行動を共にする過程や主人公の冒険の旅の道程は、時間的な制約があったのだろうと思うが開示される情報が少なく淡白過ぎて、初見の方には受け入れ難い部分があると思う。
原作と比較したとき、設定や物語に改変が見られたのが気になった。原作後半では虚無感や孤独感が溢れていたが、監督である出崎哲(出崎統の実兄)は「青春もの」として捉えたらしく、死んでいる筈のキャラが生きていたり、活躍する筈のキャラがモブ化していたりと、物語の大筋は違わないが印象は微妙に違っている。
「青春もの」として描いている割りに、濡れ場はそれなりに描かれていたりする。規制が今ほど厳しくなかった時代の作品だからなのか、現在なら間違いなく登場する謎の光も出番は無い。また現在なら配色を変えたり抽象的に描かれるようなグロいシーンも普通に描かれている。
主人公に(が?)敵対する組織の名称には、神道や仏教といった東洋の宗教に関連すると思われる言葉が使用されており、鳥居も登場したりするが、使用されているのは名称のみで物語に宗教的な要素は殆ど無い。
原作は「軽井沢シンドローム」で有名なたがみよしひさ。原作者で読む漫画を選んでいた私は一時期、学研から発刊されていたコミックNORAというメジャーとは思えない月刊誌に連載されていた「NERVOUS BREAKDOWN」を読みたく講読していたこともあった。
キャストは、嘗ては主役級を勤め現在は大御所と呼ばれるような、井上和彦、小林清志、玄田哲章、日高のり子、大塚芳忠といった私でも知っているような名前をチラホラと見かける。
制作当時の詳細は知らないのだが、個人的な感覚ではそれ程話題になっていた印象も無いが、夏休みなどの長期休暇の午前中からTV放送されていたので、何かしらの話題にはなっていたのかも知れない。だがCG全盛の現在に於いてはセル画時代の映像の古臭さは隠せないので、「古きよき時代に掃いて捨てられた作品」を見たいという方にはお勧めできるのではないかと思う。個人的に原作は大好きなのでもっと強く推したいが、アニメに関してはこのくらいが限界だろう。
■作品の傾向
荒廃した世界を旅するという意味では「未来少年コナン」が近いと思う。
世界観だけならば「風の谷のナウシカ」も範疇に入るのではないかと思う。
ここまで名作を並べたが、正直そこまでの魅力は無いと思う。
■蛇足:{netabare}
日々命をかける戦士にとっては普通なのかもしれないが、それにしても女性戦士の心変わりは早すぎる。
{/netabare}