jethro さんの感想・評価

4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

女子剣道部の熱きビート!

剣道場まで完備されている室江高校だが
実質部員は部長である千葉 紀梨乃（ちば きりの)ただ一人という弱小剣道部
春の新学期を機に、紀梨乃は剣道部を再建すべく奮闘
そこで紀梨乃は天才的な素質を持った剣士
川添 珠姫(かわぞえ たまき)と出会い、勧誘を始めるが・・・
女子剣道部の清々しい青春を描いたスポ根アニメ

面白いです。
音楽との躍動感がハンパないです。

本作ではスーパー○○技とか、そういった類の天地をひっくり返すような
ものは出て来ないし、ウルトラC級の展開もありません
言い換えると、かなり真面目な学園ものです。

「防具はゴテゴテしてるし、地味だし、籠手(こて)は臭い」
こんな事を、正面切ってハッキリと言ってしまう
そんな剣道アニメです。

だから面白い

部長と剣道経験者の勇次くん以外の部員はすべからく
剣道部に入ることをためらい、それぞれが特殊な理由をもって
「しかたなく」入部するものばかりです。

これは、本作の主人公である天才剣士 珠姫ちゃんにも言えることで
幼いころから剣道を習っている彼女ですら
「本当の剣道の素晴らしさ」を知りません

私たちは、そんな種々雑多ともいえる登場人物
「全くの素人」「全くの興味なし」「もう辞めてしまった者」
「所属はしているが別の事に夢中な奴」
そんな彼ら彼女たちが、どんな経験を経て
「剣道」というものを好きになっていくかを目撃することになります。

そして、私たちに
「剣道って面白いかも」という思いへと誘ってくれます。

スポーツマンシップという言葉があります。
これは精神論的な意味合いが強いのですが
本作では、このスポーツマンシップを実に大切に扱っています。
スポ根ものでありがちな行き過ぎ行為を
ものの見事に制します。

例えば怪我をしているものが試合に出場して、気づいた顧問は
どんな要の場面であっても「棄権」を選択します。
また、物事はこう言ったことだけに関わらず
一般社会とスポーツの関わりという問題にも切り込み
部活動外の暴力沙汰、顧問の社会的責任など
取り扱えば、かなりややこしい問題とも真正面から向き合い
登場人物たちとともに、これらの問題を真剣に考えていきます。

こっういった作品作りの姿勢は
現代におけるスポ根アニメのあるべき姿をしっかり提示しており
作品に対する「本気」が感じられます。

先にも言いましたが音楽が良い
映像以上の効果を発揮しています。
その躍動感は登場人物たちのビート(鼓動)です。
竹刀の音
踏み込む足音
気合の声
全てが熱い!だけど、とことん真面目な若者たちのソウルビート!