Ellue さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
色々な家族の想いを伝える秀作
原作済。After含め視聴済。
人生は長い長い坂道です。
格言です。
日々平々凡々暮らしていれば平坦な道かもしれません。
一生懸命生きれば坂道です。大変です。
でも坂を上りきった時の充実感は素晴らしいのでしょう。
一人では歩み出せない坂も二人でなら…
そんな坂の下の出会いから始まる。
そして坂の途中の出会い。
その出会った人達の家族の話を織り交ぜながら、
二人が坂道を登っていく物語です。
家族といっても色々な関係があります。
兄弟、兄妹、姉妹、夫婦、親子等々…
最初は伊吹という姉妹の話。
妹・風子のひたむきで強い想いを持って
姉・公子の幸せを祝う為に夢の中で頑張る姿は感動ものでした。
風子は泣かないんですよね。涙をためる事はあったけど…
自分が一番辛い立場なのに泣かない。
姉が目の前にいても気付いてもらえなかったり、
協力してくれていた人たちに徐々に忘れられていくのは
想像も出来ない辛さだと思います。
それでも常に姉の幸せを願い続ける強さ、
その強さがこの子の願いを成就させたのだと思います。
自身が事故にあう日に姉に誓った友達を作るという願いも叶った形です。
この話だけで1クールのアニメ作っても相当人気の出ると思わせます。
次は両親の死と共に時を止めてしまったことみが
両親が健在だった頃出会い、はじめて友達になった
朋也に再会して、時を取り戻していくお話です。
子供っぽさを残すことみはこれが理由となっています。
朋也と取り戻す時間は全て子供のことにしようとしたことに繋がっています。
友達を作ること、誕生日会をすること、外の世界に連れ出すこと。
一旦閉ざさせてしまった事を無意識の内に成していくことになり、
それが物語の最後に繋がっていくのです。
過去にあった庭を再現し、そこに戻りことみを連れ出すと言う繋がり方が秀逸です。
そして、誕生日には友達に囲まれ、両親の想いも形を成します。
それは死の直前まで自分の子を思う気持ちです。
そして、ことみは外の世界に出ることで時を再び動かし始めます。
とにかく話の繋がり方が秀逸な素敵な話です。
他にも上記2つの話に比べると密度は濃くないのですが、
坂上一家の話は弟が命を張って家族を取り戻す話。
藤林双子姉妹の話は同じ男性を好きになる話。
恋が破れたときの藤林姉妹の辛さは心が痛くなります。
そして渚の古河家の話。
親は子供の夢が叶うことが夢…
親になるということは自身の子に主役の座を渡して
脇役に回ることだとどこかで聞いたことがあります。
作中、舞台を掛け合わせていることもあって
その言葉がぴったり表現されているのです。
演劇部の催し物のシーンは確かにクサいかもしれません。
ですが、秋夫の言い放つ言葉には一つ一つ重みを感じます。
親になることの大変さ、重さ…そして、子を持つことの幸せさ。
それまで自分の好きなようにやってきた人生を
自分の子に捧げる人生に変わるということです。
何か今の世の中で忘れ去られていそうな何かを
思い起こさせてくれるような話だと思いました。
そして、坂道はまだ途中です。
二期となるAFTER STORYで朋也と渚はさらに険しい坂道を登っていきます。