はなび@虹色 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
理不尽な「死のいす取りゲーム」
私なりの「Another」の見どころ
「印象的な場面描写と秀逸な音響・BGM」
「極限状態に追い込まれていく3年3組の生徒たち」
「11話と12話を受け入れることができるか?」
総評としての感想です。
私は、このお話のテーマは「理不尽な現象に対する怒り」なんじゃないかと思いました。
このお話に登場する人は、『現象』によって、大切な人を亡くしています。
そしておそらくほとんどの人がこの現象に対して、
「恐怖」を感じていると同時に「怒り」を抱いていたんだと思うんです。
クライマックスでは、その怒りの矛先が、ある人にとっては決意に、
ある人にとっては覚悟に、ある人にとっては狂気になったんじゃないでしょうか。
ホラーとしての怖さと臨場感は頭一つ抜けたものがあります!
作画の綺麗さ、繊細さもさることながら、BGMと音響の不気味さによって、
怖さが一層引き立てられています。
それらの要素が組み合わさることで、『現象』が起こる恐怖の世界に、
夜見山北中学校3年3組の教室にぐいぐいと引き込まれます!!
原作は未読ですが、漫画版、OVAは見ました!
個人的には、漫画版もアニメ版に負けず劣らずの良作だと思います!
「印象的な場面描写と秀逸な音響・BGM」
{netabare}
恐怖感、リアルさを演出するのに秀逸だと感じた場面がいくつもありました。
・「空」の描写
雲の流れ、月の明かりがとても綺麗で繊細。臨場感を感じます。
・ところどころ挿入される人形のシーン
恐怖感、不気味さを感じさせます。サブリミナル的な効果もあったのかも。
・OPに挿入される生徒同士の会話
会話を挟むことで怪談風の恐怖感が増すような演出でした。
・板ガラスが風で倒れるシーン
オーメンへのオマージュですね。見ているだけで怖かった・・。
・携帯のノイズ、雷の音、九官鳥の物まね、BGM
音なのでうまく説明できないけど、怖いです・・。
・クラスメイトの死に方
何度見ても、痛い!気持ち悪い!と思える悲惨な死に方をします・・。
Anotherで一番怖いところがこの死に方だと思います。
気持ち悪くなってもう無理って人もいたんじゃないかな・・。
Anotherをホラー作品たらしめている一番の要因が、
印象的な描写と秀逸な音響・BGMにあります。
ホラーとしては、やっぱり頭一つ抜けている感があります!
{/netabare}
「極限状態に追い込まれていく3年3組の生徒たち」
{netabare}
このお話は本当に哀しいお話だと思います・・。
理不尽な『現象』によって、極限の状況に追い込まれていく、
3年3組の生徒たちがものすごく可哀そう・・。
榊原恒一
{netabare}
恒一くんはお母さんの温もりを知らないんですよね。
『現象』を解明して、お母さんの死の真相を知りたかったんだと思います。
玲子さんに、お母さんの面影を感じていたことを感じさせる、
12話のあのセリフには、ちょっとうるってきちゃいました。
ほんと哀しい結末ですよね・・。
{netabare}
本当は、漫画版の終盤のお墓でのシーンも入れてほしかったんですけどね。
あのシーンはAnotherのなかでも屈指の名シーンだと思うから。
{/netabare}
{/netabare}
見崎鳴
{netabare}
未咲ちゃんを失って、悲しみのどん底にいるのに、
学校ではいないものにされて、お母さんともよそよそしい感じだし
ほんとかわいそうでしかたなかったです・・。
死の色が見えていながら未咲ちゃんを救えなかったことで、
無力感を感じて、心を閉ざしてしまったのかなぁ。
だから、『現象』を止められるってわかった後の鳴ちゃん、
止めた後の鳴ちゃんが本来の鳴ちゃんだったんじゃないでしょうか。
このお話って、未咲ちゃんを失って、心を閉ざしてしまった鳴ちゃんが、
心を開いて、本来の自分を取り戻すまでのお話ってことなのかも。
もちろん、恒一くんの存在も大きいですけど。
{netabare}
でも、なんで通り魔のことを鳴ちゃんは覚えていられたのかな?
当然その記憶にも『現象』による改ざんが入るはずなのに。
そこがちょっと納得いかなかったかな・・。
{/netabare}
{/netabare}
赤沢泉美
{netabare}
赤沢さんはかわいかったー!!いちばん好きなキャラかも!
彼女も2年前にお兄さんを『現象』で亡くしている。
その時の哀しい気持ちを友達には味あわせない、という使命感。
かっこいい女の子だなって思いました
そのうえ、恋する女の子としての一面もあって、かわいかった^^
彼女にとって『現象』を止めたかった一番の理由は、
恒一くんを助けたかったからなんだろうな。
{netabare}
あの最後のシーン、恒一くんはあのとき絶対に「覚えてる」って、
言わなきゃダメだったのにー!!何で言わないかなー、もう!!
{/netabare}
{/netabare}
風見智彦
{netabare}
私が一番かわいそうだなって思ったのは彼でした。
桜木さんのことを想って、彼女と同じ高校に行くために頑張っていたのに、
その彼女は『現象』によって、亡くなってしまった。
その後も、目の前で久保寺先生が自殺し、親友の勅使河原くんにも疑われた。
{netabare}
でも、風見くんがなぜあんな行動を起こしたのか、最後までわからなかった。
あれじゃ、単なるサイコな人みたいで・・、ひどいよ、風見くんがかわいそう。
漫画版ではあんな人じゃなかったのに・・。
{/netabare}{/netabare}
{/netabare}
「11話と12話を受け入れることができるか?」
{netabare}
すみません、なんか身も蓋もないこと書いてしまって・・^^;
でも、11話と12話を受け止めることができるか否かで、
アニメ版のAnotherの評価が大きく変わると思うんです。
それくらいの急展開が11話と12話にはあります。
10話まではほんと完璧な流れで先が気になってしょうがなかったんです。
でも、11話と12話がどうしても受け入れられませんでした。
なぜ、あの人があんな行動をとってしまったのか?
その背景や気持ちの移り変わりをもっときちんと描いてほしかった!
でないと、3年3組のみんながかわいそうすぎます!!
{netabare}
風見くんと杉浦さん、小椋さんはおかしくなってしまうし、
管理人の奥さんはいきなり殺人鬼と化してしまったし。
これを『現象』によって死に引き込まれた結果と言い捨てるのは、
やっぱり、納得がいかないって思うんです。
それまで、それぞれの人物に気持ちを寄せていたのに、
なんだか、台無しになってしまったような気がしてとっても哀しかった・・。
{/netabare}
Another のお話や登場人物たちはみんな魅力的で大好きです!!
でも、終盤に関しては、どうしても好きになれません。
私と同じように、アニメ版のラストに納得がいかないという方は、
漫画版の方を読んでみるといいかもしれません。
作画・音響による演出としてホラーをより楽しみたいという方は、アニメ版。
ストーリーと登場人物の魅力を堪能したいという方は、漫画版。
もしかしたら、そんな棲み分けなのかもと思ってしまうくらい、
両者は雰囲気が異なるように感じました。
{/netabare}
あの、これは余談なんですけど。。
私、この作品を見ていて、
なぜか「いす取りゲーム」を思い出しちゃったんです。
一人増えたところでゲームが始まって、
座れなかった人が死んでゆく・・みたいな。
なんとなく、似てませんか・・?