STONE さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
やはり主人公は主人公だった
歴史上の人物をヒーロー化した作品が幾つかあるが、この作品は主人公であるヒデヨシが時空を越えてやってきた現代の女子中学生という作品世界の中では異端の存在であるのが目新しかった。
そのためヒデヨシの思考や行動はこの戦国時代に生きるキャラとは異なるが、ヒデヨシが仕えることになるノブナガはそんなヒデヨシの異端ぶりをむしろ面白がる風で、やがてノブナガ自身も変わっていく。史実の織田信長も古い因習に囚われない性格だったようで、うまいことストーリーを史実に結びつけている。
戦国時代ゆえに登場する武将達はいずれも高い戦闘能力を誇るが、そんな中ヒデヨシはまったく戦闘能力がない状態。
序盤に弱い主人公は秘めた力が覚醒したり、努力で才能が開花したりするようなパターンが多いが、ヒデヨシは終始弱いままで、数々のバトルシーンにおいて、主人公とは思えないお荷物ぶりを発揮。
しかし、終盤になって力による制圧が無意味であることをノブナガが悟るに至り、そのノブナガを変えたヒデヨシの弱さこそが大きな意味を持ってくる。やはりヒデヨシが主人公であったなと。
明智光秀が織田信長に対して謀反を起こした理由は色々と取り沙汰されているが、この作品ではその理由がヒデヨシに対する嫉妬から、ノブナガに対して懐疑的になっていくという解釈が斬新であった。女だらけの世界で、百合モノ要素のあるこの作品ゆえに成立した理由ではあると思うが。
このミツヒデの心情は結構ていねいに描かれており、作品の深みに一役買っている。
その他、常人離れした武将達は別にして、ちゃんと時代考証や史実の流れを取り入れていたり、当初はB級イロモノ作品だと思っていたが、意外としっかりとした作品であった。