STONE さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
動かぬ主人公
前半はやけにのんびりした展開で、終盤になっていきなり駆け足で終わるという、シリーズ配分の悪さが目に付いた。一応、結末はそれなりに、締めるとこは締めてくれた感じだったが。
当初から初期宮崎アニメとの類似性が指摘されており、冒険ものSFとして期待されていた。
実際序盤はそんな感じで進んでいったが、そうなると気になるのがキャラの弱さ。特に主人公のクレインがあまり活躍することなく、回りの状況に流されていくばかりの状況はいかがなものかと思われた。
この状況は後半になってネッサ、フリュネが次第に魅力を増していっても、クレインは最後までパッとしなかった印象。
ただ、終盤に至っては、この作品は冒険ものSFと言うより、「人間にとっての真の自由」を問う社会派SFの色が強くなっていき、社会派SFとして考えるとクレインに対する見方が変わってくる。
クレインの立ち位置は視聴者と同じ目線で、変化していく社会を第三者的視点で見つめ、自ら状況を動かしていこうとはしない態度はむしろありに思える。
ただし、冒険ものにあるような爽快感や娯楽性は弱く、その辺のバランスが取れていたら、もっと良くなったように思えるだけに、なんとも残念。
最後になってフラクタルシステムの真相が明らかになる。演出上サラッと流すように表現されているが、結構悲劇的で毒々しい内容である。作画の雰囲気とは異なる毒のある世界観が、この作品の個性なのかな。