missing31 さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 2.0
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
策士、策に溺れる。アニメに混じった実写の「違和感」
そもそも原作がかなり良作である事を前提にして
レビューをしたいと思う。
実写をトレースするロトスコープという手法を使っていて、
一見すると実験映画の様な印象を受ける。
このアニメは特に「空気感」が重視されて演出されていた。
何も無い道、壁に貼られた看板、電線などに対して
30秒以上も使われるシーンなどもあるのだが、
それが全く苦にならない程、上手い演出だった。
だが、ロトスコープである必要性は全く無い。
というかロトスコープならではの「違和感」が多過ぎる。
幼さが残る、程度ではない幼い子供達の闇が、ロトスコープ手法によって
完全にかき消されて、高校生くらいの子供達の犯罪を見ているようだ。
とにかく登場人物に魅力が無さ過ぎて...。
面白いと感じる部分は多々あるのだが、角度によっては
すんごい不細工に見えるというリアルでは「普通のこと」が
アニメになった途端に「違和感」となっている。
年齢も設定よりかなり上の高校生程度に見える。
(実際役者は高校生かそれ以上だと思う)
子供同然の中学生だからこそ、面白いのに。
こういったマイナス面が目立った作品であった。
EDは秀逸。かなり作品に合った素晴らしいチョイス。
監督へのインタビューを見た事があるが、
「ロトスコープという手法を取った俺、すげえだろ?w」
みたいな自負が感じられて薄ら寒かったのが印象的だった。
コクトーの「恐るべき子供達」ナボコフの「ロリータ」など、
幼いがゆえに、さらに恐ろしい事、を殺しているというのに。
ちなみに、原作は連載中。
出だしは最高に面白くても徐々に失速する最近の流行り物だろ
とタカをくくっていたが、予想を裏切って最高に面白くなってきた。原作厨は嫌いだが、この作品は原作をお勧めする。
「萌が嫌いだからこっちでいい」だって?
そういう人は大江健三郎の「性的人間」でも読んでればいい。