りぃたん さんの感想・評価
4.3
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
老舗東映が描く創作家の神秘、最新映像美の粋かな。
お話や台詞は、抽象的でわかり辛かったですが、
とにかく作画が感動的でした。
鮮やかなサイケデリックな色彩の上、
時間や気象の自然のもたらす光、
太陽や月明かりの明暗、瞳に差し込む光が、
情感を効果的に表していて、色彩の感度に痺れました。
京都の幾つかの寺院を舞台にして、
現代絵画にアレンジしたような美術設定に、
空間の奥行き感を活かした劇場版のように工夫されたレイアウト、
レイアウトと共に動く減り張りあるアクション、
BGMの絶妙なタイミング、
毎話後半部が特に盛り上がり、作画に感涙、
中毒になりました。
日本のアニメ、老舗東映の最新技術の結集を見た思いで、
ハートキャッチプリキュアで演出してきただけに、
プリキュアっぽさも満載ですが、
京騒戯画で、この女性監督らしい個性や
若さとやる気がいかんなく発揮されていて、
力作だと思いました。
日本のアニミズムの原点? 鳥獣戯画と明恵上人の話を
老舗、東映が作るということで、意気込みが感じられて、
興味のつきない作品でした。
ただ、ストーリーの設定は、ややややこしく、
{netabare}描いた絵が本物になり、消すのも治すのも自由自在な明恵上人。
その描かれた絵の世界、鏡都世界の生死も操る上人の話が、
家族の再生がメインストーリーになり、
神と同義の創作家の話とはちょっと違って、
個人的にはちょっと寂しかったような。{/netabare}
更に、その家族の再生の話も、詰めが足りない感じがして、
ちょっと残念でした。
でも、作画好きの人には一見の価値のある、
何回か見直して楽しめる濃厚な出来映えの作品だと思いました。