takekaiju さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
悲壮感のある雰囲気が好き
義体を操る殺し屋の少女たちと彼女らを運用するイタリアの対テロ組織「社会福祉公社」を中心に、反政府組織「五共和国派」やマフィアたちとの抗争を描く。
物語全体にある種の悲壮感が漂う独特の雰囲気が印象的だった。
物語の主人公である少女たちは、一家惨殺にあったり先天的障害で捨てられたり拉致されたりと身寄りのない境遇を公社に拾われ義体改造を施されている。条件付けと呼ばれる洗脳によって忠誠を誓わされ高い運動技能によって政府の汚れ役を引き受ける。そうした過酷な環境はテロや市民デモが多発するイタリアの街々の雰囲気と相まってかわいそうな子供たちという印象を始めは受けた。
しかし、物語が進み一人ひとりの少女の視点で描かれた担当官との関係を見ていくと必ずしもそうではない、それぞれの関係性があることに気づく。ジョゼとエッタの場合は相愛の仲の良い兄妹として、ジャンとリコの場合は道具であり受容の関係を、ヒルシャーとトリエラは信頼の置ける兄妹といったように境遇の受け入れ方が違う。だからなのか、悲壮感漂う中でも少女たちは現在の状況に幸福を感じているようにも感じられる。
過酷な境遇とその上での幸福のバランスの取れた描き方が素晴らしいと思った。
キャラクターのデザインも快活で明るい雰囲気の見られいわゆるアニメ画になった2期とは違い、古臭い感じがする。特に担当官であるジョゼやジャンは完全にイタリア人として描かれている点に好印象を受けた。キャラ受けは良くはないけれど、こっちのほうが物語全体の雰囲気にあっているような気がする。声優に関しても垢ぬけたアニメ声でなく、地が見える落ち着いた声が良かった。