ヴァッハ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
最高傑作
MOVIX京都にて、改めて鑑賞したのでこの機会に感想を。
・ストーリー
卒業生が、卒業する前に後輩へ何をしてやれるのか? 卒業旅行とその前後の中で悩み考えるというのがメインの流れです。本編を見ている方が殆どだと思うので、ラストの展開は予想できるでしょうが、その上であそこまでの感動が生まれるのだから驚きです。
・キャラ
一人一人が生きている。ただ舞台装置として、ストーリーを動かす為の駒としてではなく、ストーリーの前にキャラクターがいる。彼女達だからこそ生まれるドラマです。ストーリーを基盤にキャラクターを動かすのではなく、キャラの性格、その時々の感情に流れを乗せているように思えました。でなくば、ここまで魅力的なキャラクターは作り上げることが出来ないでしょう。作者の手から離れていっているが、スタッフがしっかりとついていっている、そう感じました。
・作画・演出
文句なしです。時には躍動し時には静まり返る背景(夜から朝への早送り等)。キャラクターも、足元だけで誰が話しているのかが視聴者にも分かる程、一人一人の性格を理解し表現しきっている。誰かが話している背景で他の部員が他愛のない会話をしている所など、芸がこまかいです。また、部員のみならずクラスメイトのセリフも、ちゃんと会話として作っているのでしょう。ザワザワが、リアルな空気感を作るのに一役買っている。
澪のキャリーバッグが見当たらない下りや、予約したホテルの違う店舗に行ってしまうシーン等、それが伏線などでない限り本当は削られるようなシーンでしょう。あったとしても、軽く挿入する程度。
しかし今作は日常です。彼女達の卒業旅行をよりリアルに。何でもないシーンが知らないうちに視聴者の心を掴んでいるのです。それも、一つ余さず。他の映画であれば忘れている展開も、一回見ただけで印象に残るのは緻密な演出と作画があるからこそです。
名シーンしかない今作ですが、私は特に早朝の出発シーンから到着までの背景・演出の表情がたまらなく大好きです。何だか、自分も一緒に旅行へ行っているような錯覚に陥るのです。不思議なほど、ワクワクしました。例えるならば、修学旅行のワクワク感。その感情が湧き上がってきた時点で、今作が本当に丁寧に描かれているのが分かります。
・音楽
けいおんと言えば音楽は欠かせません。OPのポップさ、明るく可愛くてワクワクします。EDは終わってしまう悲しさを噛み締めつつ、格好良さに終始鳥肌が止まりませんでした。
映画で初の劇中歌は、彼女達の旅行の姿を背景に、楽しく小気味良い印象です。
既出曲に関しても、劇場音響で聴くとまた迫力があり、こちらも鳥肌モノでした。「U&I」と「天使にふれたよ」は特に、映像との相乗効果でうるっと来ました。天使にふれたよはあんなの泣くに決まってる。
・その他
日常系らしく、大きな出来事、事件などが起こるわけではありません。だのにとてつもない感動と感慨を生みだしているのが今作の恐ろしいところです。
公開当初、劇場で十数回、BDで数十回、睡眠BGMとして数十回見てきましたが、あり得ないほど飽きが来ません。何度見ても目が離せない、心を奪われる。
最後まで、一つのシーンも漏らすことなく見てほしい。見所なんて全部です。全てが意味を持っているのです。
最後のおしまいが寂しすぎてまた泣いてしまう。難民経験は少ないですが、けいおんは1番ロスに陥った作品かもしれません。