takekaiju さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
原作とは違う楽しみ方がある。
原作既読済み。
テレビ放送でこの作品を知って、原作を読んでから再度アニメ版を観ました。
ストーリーの展開はおおむね原作に沿う形で進んでいく。
未消化エピソードなどもほとんどなく、物語を追いたいだけの人ならばアニメ版を観れば十分だと思います。
逆に原作既読者からしても、文章だけでは補完できなかった場面のイメージが明確になるので、一見する価値があります。瞬が業魔化したバンガローのシーンや後半の東京散策などつかみにくい細部の再現は見ごたえがある。
ただし、原作『新世界より』で著者がこだわりを見せ、何よりこの作品に独特な印象をもたらしている動植物群の描写に欠けているところが残念に思う。テンポが大切な映像作品において、細々とした世界観の描写が難しいのが惜しい。
{netabare}例えば、
本編でも重要な役割を担うバケネズミやミノシロモドキは丁寧に説明が繰り返され、原作とそん色なく描写されている。一方、ミノシロモドキの元となったミノシロの成り立ちや悪魔の手、東京散策において洞窟内で登場したイッタンハエトリガミやオオオニイソメ、ヤマテミミズなど物語に直接絡んでこない生物は描写が少ないかほとんどない。{/netabare}
原作においては、そういった生物の描写一つひとつ、村や日本列島、呪力などの世界観を渡辺早季が語る場面がちょくちょく入り、それがなんともいえない雰囲気を醸していた。呪力によって、社会や世界の様相がどれだけ変わってしまったのか、著者の努力が映えるところであり、本作品の楽しみの一つでもあった。